笑わない華 ＊ 14 ページ16
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次の日、私はいつも通り野坂くんと西蔭くんと一緒に試合の鑑賞に向かった。
野坂くんも西蔭くんも、勿論私も、何も言わずに歩いていた。
途中で、ふと野坂くんがこんなことを喋り出した。
｢もし、フィールド上でボールを持った仲間がマークされていたら、ユズキはどうする？｣
｢……どう、って……相手にボールを取られない場所に移動して、パスを貰うかな。｣
｢西蔭は？｣
｢俺はゴールキーパーなので、あまり役に立てないかと……｣
｢そうだったね。｣
突然ふられた質問に私も西蔭くんも驚いて、上擦った声で返答をした。
野坂くんは相槌を打ち、そのまま続ける。
｢味方なら、ユズキは助けるんだよね｣
｢……うん｣
｢敵なら、どうかな？｣
｢助ける意味ないし……なんなら、ボールを取りに行く……かな｣
私がそう答えると野坂くんはまたかるく相槌を打った。
野坂くんの言うことだし、何か意味があるのかもしれないけど……この雰囲気で期待はできない。
そう思った私は、野坂くんの言葉をそのまま受け流してしまった。
別に……後々、覚えていた所で大して変わらなかったと思う。
けど……覚えてた方が、私は救われたのかな。
また少し歩くと、数席空いている箇所を見つけたらしい野坂くんが声を上げる。
｢あっちの席が空いてるみたいだね｣
｢！野坂……！｣
野坂くんの名前を呼んだ声の方を振り向くと、試合をサボったのか 灰崎くんは私達と同じ観客席で、野坂くんを睨みつけていた。
そこには、今注目されている雷門中の……あ、少し前に見かけたかも……稲森明日人も居た。
｢野坂くん？王帝月ノ宮の……｣
野坂くんも西蔭くんもその視線に気づいていないのか、そのまま通り過ぎようとしていた。
私は野坂くんといる手前、勝手な行動をすると後々怒られるので動けない。
せめて2人にバレないようにと髪を解いて西蔭くんの影に隠れる。
……あんまり意味無かったかもしれない。
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