心 Distance -ｺﾚｶﾞ恋ﾄｷﾂﾞｸﾏﾃﾞ- (ページ37)

今日:19 hit、昨日:14 hit、合計:260,490 hit

→37← ページ37

『イタダキマース♪』

呑気に夕飯を食べるこの男、ジョン・クイック

今夜は私の家に泊まることになった

そして、翔平も外泊届けを出して家に泊まるらしい

「はぁ……」

あれからずっとため息を漏らす翔平

どう声を掛けようか悩んでるうちに
時間が過ぎて、今に至る

「翔平、、コロッケ食べる……？」

「…………いらない………」

これは重症かも…しれないな……

そんな様子を眺めるジョンが口を開いた
(通訳:母)

『翔平、君はメジャーでもやっていけると思う。
でも、今じゃない。しっかり日本で身体を作り
プロというものを経験してから来ても遅くない』

翔平は、本当は分かってるんだよね

でも、まだ野球少年なんだもん

憧れは強く出てしまう

『俺は知ってるよ、憧れだけで来た選手たちが
グラウンドを去っていく姿を。
翔平にはそうなって欲しくないんだ』

私も同じ気持ち

野球に絶望した姿を見たくない

『君は俺が認めた選手だ。
日本で結果を残して、
大きな顔でアメリカの舞台に立つといい。
その時は、俺が全力でバックアップするよ。
翔平のメジャーでの舞台は俺が整えるから』

色んな感情が入り乱れ
涙が出てきてしまった

「A……泣いてるの？」

「いや、なんかもう、……色々込み上げるものがあって……
それよりも翔平が野球から離れちゃうこと想像したら
めちゃくちゃ涙止まらない……」

「僕が野球辞めるわけないじゃん？
……うん、そうだよね、ジョンさんの言ってること分かる。
今の俺じゃ、メジャーで通用しないかもしれない。
いや、全然ダメだよね、全部打たれたし
Aにも打たれちゃった」

「それは翔平ボロボロだったから……」

こんな風にしか、伝えられなくてごめん

ずるくて……ごめんね……

結局、自分の言葉で翔平に伝えられなかった

翔平はそっと頬に触れ、涙を拭ってくれる

いつも自分より人のことを考える翔平

自分の方が悔しい癖に……

「もっとメンタルも鍛えないといけないなって思った。
僕の課題、いっぱいあるの分かったし
日本で活躍してからでも遅くないよね！」

やっぱ翔平は凄いよ

私は思いっきり翔平に抱きついた

…………私も負けてらんないや

決めた、私アメリカに行く

翔平ともう一度、舞台に立ちたい

「……A……?」

ﾋｭ～♪と、聞こえる口笛
母もこの光景を見ていてニヤケている

今は何も気にしない

「翔平、私高校卒業したらアメリカに行く」