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放課後
紅白戦をしようと提案してきたジョン
部員たちはすごく興奮していた
だって、メジャーリーガーと試合なんて
滅多に出来ないことだから
『翔平は俺の敵な〜。
はい!あとは適当にチーム分けして!GOGO!』
『ジョン、私はどうすればいい?』
『キャッチャーに決まってるだろ。
俺の中でAは選手枠なんだから。
俺の球取ってくれ。それに他の子が取れるかわからん』
ギラギラと目を輝かせるジョン
あー、この感じ本気で投げるつもりだ
高校生相手だろうが関係ないんだろうな、この人
「翔平〜」
「どしたー?」
「…………良くジョンを見ててね」
「ん?うん!当たり前じゃん!!!
なかなか無いもん!」
「………負けないから!」
「うん、僕だって負けないよ」
私たちはグータッチして健闘を祈った
どう伝えればいいか
ずっと悩んでいたメジャー行きの件
これは良い機会だと思った
ジョンのプレイを見れば、
まだ自分がその域じゃないってわかるはず
私も………自分の選択をしなければいけない
先攻は私たち
翔平のピッチングを真剣に眺めるジョン
『翔平……いい球投げるじゃん。筋は悪くない』
『そうでしょ?翔平すごいでしょ?』
『でもまだ足らないな。
Aは分かっててなんで言わない?』
『…ぁ…伝え方が分からなくて…
もし傷つけちゃったらと思うと…』
『何言ってんの?翔平は弱い人間じゃないだろ。
それを1番知ってるのはA、君だろ?』
3番打席に立つジョン
初球から打ったその球は、
余裕で外野の頭上を超えていった
翔平を指し、
『翔平、これがメジャーだ』
と叫ぶ
この言葉の意味はわかったらしく
1回にしてこの集中の仕方
この後の打者をきっちりアウトにした
その後もジョンは、全部HRにしてしまった
そして、この試合でジョンからヒットは1本も出ていない
……そう、あの翔平が打てなかった
今までの翔平からは考えられない
最終回
『A、HR打て』
ジョンの無理難題を私は全力で首を振っていた
『無理無理!翔平から1本も取ったことないのに!?』
『だからだ。
言葉で伝えられないならプレイで示せ』
バンッと背中を押され、ボックスに立つ
翔平と視線が合わさる
……分かるよ、翔平。全部分かる
勝ちたいよね
その表情、動き、一球に込める思い
でもごめん
初めて翔平の心ボッキボキに折っちゃうかも
打った球はこの日、一番の飛距離だった
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