コンタクトケース【青】 (ページ8)

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春・A「終わったぁぁあー！！！」

2日に分けて行った荷解きが終わる頃、
時計は20:00を指していた。

春「まじ荷物多すぎ！！！めちゃくちゃおしゃれなカップとかハーブティーまで届くとか鴨山さんすげぇな本当」

「本当だよ！！まだ解ききれてないのもあるけど、、」

春「あはは、まじ1週間分動いたわ、(笑)」

春「あ！やべっ！、、、、はいこれ」

「？？？？」

春「ご近所さんに挨拶行く用のお菓子。さっき正門さんご帰宅になったらしいですよー？」

「え、いつのまに、！」

春「ほら、まずは最初が肝心。服着替えて、笑顔作って、お菓子持ってき？スミレちゃん。」

「、、、うん」

春「なに？緊張してるの？(笑)久しぶりに見たわそんな顔。」

「だって、、」

春「挨拶しない方が失礼なんだから、、ね？」
春「と言うことで！疲れたから帰りまーす！」

「え、！春樹帰っちゃうのー！？」

春「俺、春樹じゃないよ。トオル。お前の、スミレの、職場の仲良い同期。お前は誰なの？」

「、、スミレ。昨日ここに引っ越してきた白坂スミレです。」

春「お！いいじゃ〜ん(笑)」

「頑張ります、(笑)」

春樹のおかげでスミレになるスイッチが入った気がする。
私も春樹のこと“トオル”って呼べるように頑張らなきゃ。

何だか帰ってしまうのが心細くて、玄関まで送る

「荷解き手伝ってくれてありがとね、トオル。」

春「おう！まかせんしゃい！同期一屈強な男、野田トオルに力仕事を、、！」

「ヒョロヒョロだけどね(笑)」

春「スミレ〜それはやっちゃダメだよぉ〜(笑)」

「あはは、じゃあまたね！近いうちに！気をつけて帰ってよ！」

春「おう！じゃあまた！」
　
最後まで明るく元気づけてくれるのは春樹のいいところ。
ドアを元気よく閉めようとする春樹に笑顔で手を振りかえす。

閉まる直前

春「またね、、A。」

最後に少し寂しそうな顔で私の名前を呟いたと同時に
ドアが閉まった。

あぁ、これから私が“A”と呼ばれることはとうぶんないのかもしれない。
春樹の言葉で私ではなく、ワタシとして過ごす覚悟ができた。

相変わらず、Aはスミレと違い、怖がりだ。
ちゃんとスミレにならないとな、、。

部屋に戻り、さっき届いた段ボールからダボダボの水色のパーカーと短パンを取り出して着替える。

鏡の前で深く息を吸ってから、私は挨拶へと向かった。