趣味やってたらトリップした件について誰か教えてほしい。【文豪ストレイドッグス】 (ページ29)

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芽｢僕とて同じ事ッ！！羅生門！早蕨！｣ページ29

芽｢却説＿＿｣

太｢そろそろかな。｣

太宰が言葉を発した直後、敦達の後ろで物音がした。

敦｢今……そこで物音が！｣

太｢そうだね。｣

敦｢きっと奴ですよ！｣

太｢風で何か落ちたんだろう。｣

敦｢ひ、人喰い虎だ、僕を喰いに来たんだ。｣

芽｢敦君、落ち着こう。虎はあんな処から来ないよ。｣

敦｢どどうして判るのさ！｣

太宰が本を閉じ言葉を紡ぐ。

太｢そもそも変なのだよ敦君。｣

その言葉を聞いて芽吹は目を閉ざし、長い睫毛で顔に影を落とす。
太宰の邪魔をしないよう何も音を立たせずにじっと座っている。
まるで人形のように。

太｢経営が傾いたからって養護施設が児童を追放するかい？大昔の農村じゃないんだ。｣

芽吹はそっと目を開け、声を発した。

芽｢いやそもそも経営が傾いたんなら一人二人追放したところでどうにもならない。
　半分くらい減らして他所の施設に移すのが筋だ。｣

敦｢二人とも何を云って＿＿｣

敦が月を見た途端、科白が奪われたかのように言葉が無くなった。

太｢君が街に来たのが2週間前。｣

芽｢虎が街に現れたのも2週間前。｣

敦の中で大きく鼓動が鳴り響いた。
血管が千切れる音、骨が折れ砕ける音。
そうして敦は人ではない姿に変わっていく。

太｢巷間にはしられていないがこの世には異能の者が少なからずいる。｣

太宰は変わらず言葉を並べていく。

太｢その力で成功する者もいれば＿＿力を制御できず見を滅ぼす者もいる。｣

芽｢大方施設の人は虎の正体を知っていたが君には教えなかったのだろう。｣

完全に人間ではなくなった敦を見る。
月を後ろに背負い凛とした佇まい。
白い毛で覆われた大きい躯。
冷たい殺意の持った目。

芽｢君だけが解っていなかったのだよ。｣

太｢君も『異能の者だ』、現身に飢獣を降ろす月下の能力者＿＿｣

虎が芽吹達を睨みつけた。