そして、また出会う ページ8
私はその後の事はよく覚えていない。
記憶が曖昧になっている。
彼が言い終わらないうちに、荷物を持って彼の家を出た。
階段を降りて、電気のついている彼の部屋を見上げると、一気に気持ちが爆発した。
自分の中にあるドス黒い感情が自分を支配した。
どうして、私は気づけなかったのだろうか。
悔しさと怒りと悲しみと無力さでぐちゃぐちゃになった。
それから全速力で家に帰り、彼に貰ったもの、彼に関連するものをありったけゴミ袋に突っ込んだ。
思い出なんてどうでも良くて、ただただゴミ袋に突っ込んだ。
そして、気が付くと、夜中の3時。
部屋にはほとんど何も残っていなくて、ガランとしていた。
月だけに照らされた部屋。
その月明かりで見えた自分の部屋を見て、静かに涙を流した。
それから、自分の部屋に残った少ない荷物を全てスーツケースに詰め込み、朝６時になったところで、大家さんを訪ね、この家を出ることにする、と伝えた。
その後空港に向かい、地元を離れた。
彼との思い出が詰まっている地元には残りたくなかった。
彼を忘れたい一心で、何も考えずに東京に来た。
お金は全部おろしてきた。
東京に着いて、気晴らしに観光することにした。
有名な所に行くんじゃなくて、何だか普通の住宅街を歩きたくて。
すると、川に出た。
綺麗なところだった。
相変わらず人は沢山いたけど、私は川の橋の上から携帯を投げた。
これで、やっと彼との関係が全て終わったと思えた。
何だか気持ちが晴れた。
今日から新しい自分になるんだって。
それから、日が暮れるまでその橋の上で川を眺めた。
お腹は空かなくて、東京とは思えない綺麗な自然の景色に、ただただ心が洗われてゆく気持ちだった。
そして、街頭が付き始めて、帰宅する人で溢れた。
また住宅街を散歩することにした。
そして気づく。どこに泊まろうか。
公衆電話を探して、電話を掛けようとする。
しかし、番号も分からず、場所も分からない。
近場にホテルはないかと探すけど、周りは家ばかり。
だんだん太陽が消えてゆく。
太陽が消えてゆくのと同時に雨が降り始めた。
雨は容赦なく私を濡らしてゆく。
雨宿りをしようと走りに走るが家ばかり。
本当、私ツイてないな。
服はびしょ濡れだし、お腹も空いてきて動けない。
近くにあった塀にもたれる。
そして目を閉じた。
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ﾏｰﾒｲﾄﾞ - 何回も読みたくなるほど、素晴らしい作品で私のお気に入りです!!皆が主人公ちゃんを可愛がっているのが伝わってきます♪更新楽しみに待ってます!!身体に気をつけて頑張ってね(^o^)/応援しています(^^) (2016年11月10日 23時) (携帯から) (
レス) id: fa8cf9b19a (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - みほさん» コメントありがとうございます(´;ω;)本当に嬉しいです。こちらの作品でも、よろしくお願いします...！！ (2016年8月2日 15時) (レス) id: b5e19929d5 (このIDを非表示/違反報告)
みほ - いつも楽しく読んでいます♪応援していますね (2016年8月2日 12時) (レス) id: df107de492 (このIDを非表示/違反報告)
みほ - これからも頑張って下さい！ (2016年8月2日 12時) (レス) id: df107de492 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りんご | 作成日時：2016年8月1日 21時
