海と輝くその恋はTwo Season【好きな人がいること】

◇66.見せかけの幸せ ページ26

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貰ったヨーヨー右手に、千秋と並んで歩く。







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あれから、小さな特設ステージで行われている大道芸を見たり、


買ってきたひょっとこのお面遊んだりして、





あっという間に時間は過ぎていった。








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“ねぇ…！あの赤い花柄の子の彼氏めっちゃカッコ良くない!?”


“分かる！凄い優しそう！”


“いいなー…私も好きな人と花火大会来たかったー”


“悪かったわね！私とで！笑”






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ちょっと派手目な格好をした女の子2人組が、


私達の横を通り過ぎる時の会話が聞こえてきた。







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“好きな人と花火大会”……か、







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今日一日、気づかないフリをして棚に上げてきた問題を、


唐突にえぐられた感じ。







私は…、彼女達に羨ましがられるような人間じゃない。






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千秋｢…もうすぐ花火だね。｣


｢あ…うん｣


千秋｢飲み物でも買ってくるから、ちょっと待ってて？｣







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千秋の後ろ姿を見ながら、ﾓﾔﾓﾔとする気持ちになる。







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｢あ…、りんご飴……｣






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ふと目に入ったりんご飴の屋台。


それを見た途端、あの日の記憶が鮮烈に蘇ってきた。






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あの日、皆でに行ったあの十年前の花火大会の日、


なんで夏向と喧嘩をしたのか。






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その原因は、1本のりんご飴だった。





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