海と輝くその恋はTwo Season【好きな人がいること】

◇60.気づくな、気づくな、気づけ ページ20

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さっきの騒動が嘘だったかのように、


冷たく静まり返ったリビング。







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座ることさえ出来なくて、


紙袋を持ったまま、1歩も動けずにいた。







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“お前が誰と行くとかしらねぇけど”


“お前の浴衣なんて誰も興味ねぇよ”







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…やだなぁ、分かってたことじゃん。




夏向が私に持っているのは幼馴染みとしての情だけ。


それ以上でもそれ以下でもない。






それを分かっていたのに…、







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｢…っ…、……｣





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どうして、


こんなに涙が溢れてくるのだろうか。








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千秋｢…ただいまぁ、｣


｢…っ！｣






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玄関から聞こえてきた千秋の声。


どうやら打ち合わせから帰ってきたようだ。





慌てて涙を拭う。


今あったことを、悟られちゃいけないと思った。





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千秋｢あれ…、A一人？｣


｢冬真は…お風呂。あ…っわ、私、部屋でやることあるから…｣





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帰ってきたばかりの千秋の横を通り抜け、


階段に足を掛けようとした…、







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千秋｢…待って。｣






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ﾊﾟｼｯと掴まれた手首。


千秋にしては珍しく、強引で力強かった。







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千秋｢なんで泣いてる……？｣







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