舞姫は緋い瞳の美少女です。【暁のヨナ】 (ページ10)

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9．変わり果てたスウォンページ10

「武器を置け、雷獣」

ガシャン
ハクは放り投げるように武器を離す。

「スウォン。俺が見ていたスウォンは、幻だったのか」

「貴方達が知っているスウォンは、初めからいなかったのです」

邪魔なものは切り捨てる。
そう言うスウォンは、冷たい目をしていた。

その時。
どこかから矢が飛んできた。

「っ！」

相手が油断している！
いましかない。

私は後にいる敵を力ずくで体当たりし、敵が動揺してる間に走り出した。

「っだめだ！！Aだけは逃がしてはならない！！」

スウォンの怒鳴り声が響く。
その瞬間、ハクは周りの敵を蹴散らし、私を抱えて逃げる。

「A！危ないだろ！なにしてるんだよ！」

「私だって守られてるだけじゃないよ！！」

守られてるだけじゃ駄目なんだよ。

「こっちです！ハク将軍！」

ミンスに言われ、私達は建物の影に隠れる。
さっきの矢はミンスだったんだ！

「A………」

ヨナは静かに涙を流している。
こんなヨナ見たことがない。

「ミンス！姫さんたち連れてついてこい！」

「はい！」

――――――――――――――――――………………………

「きりがないですね」

敵はきってもきっても現れる。

「A様……。イル陛下、本当に亡くなられたのですか？」

私は黙って頷く。
私もまだ信じられない。

ザッザッ
敵だ。

「これじゃ見つかるのも時間の問題だな。」

「私が……」

ミンスは決意したように話し出す。

「私が逃げ道を確保します！」

「駄目だよ！そんなの………」

「大丈夫です！必ず逃げきってみせます！」

ミンスは、私達に笑ってみせる。
ああ、なんて優しいんだろう。

「絶対、逃げきってね！」