誰かの遺言書 ページ2
「香澄、あのね、これ…、読んでほしいの。」お母さんがおずおずと差し出してきたのは、だいぶ長い文章の手紙だった。
「誰からの手紙ですか？」
「これは、あなたの大切な人からの"遺言書"よ。」
「遺言書…。」誰かが私に遺言書を遺した。つまり、その誰かが死んだということだ。誰かは知らないが、大切な人だったらしい。まぁ、つべこべ言わず、読んでみよう。
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香澄へ
あなたがこれを読んでいる頃、私は死んでいるのでしょう。そして多分、あなたは記憶を無くし、私のことなんか、性格も、性別も、これっぽっちも知らないのでしょう。
でも、私はあなたに沢山言うことがあるのです。
まずは、
ごめんなさい。
私は、自分の欲求の為に、重大な間違いを犯してしまいました。自分勝手に行動したこと、あなたを巻き込んでしまったこと、本当に申し訳なく思っています。
次に、
ありがとう。
私が辛い時や、寂しい時、ずっと寄り添ってくれて、ありがとうございました。あなたは、私にとって生きる希望でした。これから、私の分も生きてください。
そして、最後に私のことをほんの少しだけ教えようと思います。
私の好きなことは、歌うことでした。
自分で作曲した歌を、あなたに聞かせることが、大好きでした。
あなたが、大好きでした。
中村より
拝啓
私は死んでも、あなたのことを忘れません。
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中村…？さっき頭に浮かんできた名前だが、実際は少しも覚えていない。わざわざ私の為に遺言書を書いてくれたのに、私のことを沢山想ってくれていたのに、私は何もわからない。
なんて酷い奴なんだ。私は。
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いかすみバナナ(プロフ) - 雨萩さくりさん» 褒めのお言葉ありがとうございます！できれば毎日更新できるように頑張ります！ (6月10日 13時) (
レス) @page1 id: 93eca16f76 (このIDを非表示/違反報告)
雨萩さくり(プロフ) - コメント失礼します！いかすみバナナさんの二次創作の短編集から飛んできた（？）者です。一つ一つの文章の語彙力が高くて尊敬します！！続きも、とても気になりました。更新頑張ってください！ (6月10日 9時) (レス) id: 62efc680fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いかすみバナナ | 作成日時：2023年6月9日 19時
