記憶を無くした私 ページ1
「ここは…、どこ…？」
起きるとそこは、病室のベッドの上だった。
はぁ…自分は何をしていたんだろう…？
よく思い出せないというかなんというか、簡単に言うと記憶がない。自分の名前、家族、友達、何もかもおもいだせないのだ。
ｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗ
病室のドアが勢いよく開く。そして、見知らぬ顔の誰かさんが入ってきた。いや、見知らぬ顔では無いのかもしれない。記憶には無いのだが、心の奥底で覚えているような気もするのだ。
「香澄、起きたのね…。」
「香澄…？誰ですか？それ。」思わず聞いてしまった。もしかしたら香澄というのは私の名前なのかもしれない。
なら、この青白い顔で私に喋りかけてきたのは母親か…？やはり覚えていない。こんなにも心配してくれていたのに、ちっとも覚えていないのはなんだかすごく罪悪感がある。でも、仕方がないのだ。なにせ記憶がないから。
「香澄って言うのはね、あなたの名前よ。あなたは、記憶を無くしてしまったから分からないかもしれないけど、あなたは香澄だし、私はあなたのお母さんなのよ。」
「ごめんなさい。私、思い出せません。」
「…ｯいいのよ。しょうがないことなんだし。」お母さんは、涙目で言った。
そうか。私の記憶には無くても、相手の記憶にはちゃんと残っているんだ。だから、辛いんだ。多分、お母さんや、その他私と関わった数人は、私に色んな影響を受けたかもしれないし、何か約束を交わしたりしたのかもしれない。私には、それが思い出せない。だから、忘れられた辛さが分からないんだ。だから、もう一度話せた喜びが分からないんだ。
「中村…」私は急に頭の片隅に浮かんできた名前をぽつりと呟いた。
「香澄…？なんでその名前を…？」
「分かりません。でも、すごく大切な人だった気がするんです。」
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いかすみバナナ(プロフ) - 雨萩さくりさん» 褒めのお言葉ありがとうございます！できれば毎日更新できるように頑張ります！ (6月10日 13時) (
レス) @page1 id: 93eca16f76 (このIDを非表示/違反報告)
雨萩さくり(プロフ) - コメント失礼します！いかすみバナナさんの二次創作の短編集から飛んできた（？）者です。一つ一つの文章の語彙力が高くて尊敬します！！続きも、とても気になりました。更新頑張ってください！ (6月10日 9時) (レス) id: 62efc680fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いかすみバナナ | 作成日時：2023年6月9日 19時
