7階 ページ19
「ハァ〜……」
溜息つかれちゃったな
「…………」
「A？」
「ハイ…」
「決まってんねんやったら
何も考えんと頑張ってきたらええやん」
「…そう …なんだけど…」
下を向いて今にも溢れそうな涙を
下唇を噛んで必死に我慢する
「オレも自惚れた事言っていい？」
「Aの気になることっていうんが
俺の事やったらええなって思うで」
『…ん…うぅ」
溢れてしまった涙を見られないように
何度も頷けば
きみ君の大きな手が伸びてきて優しく頭を撫でられた
「そら今までそこそこ近くにおってんから急にアメリカとか言われたらびっくりしたけど
もう心の中は決まってんねやろ？」
「こ…これが最後のチャンスだと思ってる」
「そんなビッグチャンス誰にも巡ってくるもんちゃうねん」
「うん…」
「正直言うたらもう今までも結構待っとんねん
この店やる時言うたやろ？Aが必要やって
アレ店のこともあったけど俺自身にも必要やってん
せやのにサッサとやめてまうし」
「ちゃんと言ってくれないと分かんないよ」
「せやな これからはそうするわ」
「…………」
「…………。」
「……今がその時じゃないの？」
「…何年かかるか分からんけど
俺ずっと待ってるから 気にせんと行ってこい」
「ありがとう きみ君」
「出発いつ？」
「3ヶ月後位かな」
「ほんなら明日から荷物持ってうちに来て
11時には起きとると思うから」
「何で？」
「知らんかもしれんけど、オレ結構独占欲強いねん
アメリカ行って浮気されたら困るやろ」
って言ったきみ君の右の口角が上がって
すごく悪い顔した
．
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作者名：ほままる | 作成日時：2016年8月27日 4時
