抱きしめて守るから。 (ページ9)

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◇

「蓮くん、ありがとな…。」

「ううん。俺が康二くんを助けたいだけだから。」

やっと、この手で康二くんを助けることが出来た。

つか、康二くん軽すぎて心配。ちゃんと食べてんの？

「れ、蓮くんは何か食べたいものある？」

「んーグラタン？」

「了解っ！」

可愛い笑顔を浮かべてルンルンとキッチンへ向かった康二くんに

心臓が忙しなく動く。

「ほんと…可愛すぎんだろ…。」

久しぶりに会った康二くんは自分が思ってる以上にこう…クるものがあった。

「目黒、にやけすぎ。」

「あ゛ーすみません…。」

岩本くんに注意を受け、表情筋を揉んで引き締める。
チラッとキッチンの方を見ると、

オレンジ色のエプロンをつけた康二くんが鼻歌を歌いながらグラタンを作っていた。

「あんなに可愛くて家庭的で優しくて面白いとか惚れない要素どこにあんの…。」

「マジでそれ。」

「…前から思ってたんですけど岩本くんってブラコン…ですか？」

「康二だけね。」

岩本くんが溺愛して止まない義弟、向井康二くん。

そしてそんな康二くんを好きなった俺。

康二くんのために医者になることを目指して、会いたくても我慢して勉強して

テストは全教科平均点以上で。

自分でも俺ってこんなに変われるんだと思った。

こんなにも甘い恋に溺れて

自分が変わって、一生をかけて守りたいと思えるようになって。

康二くんは本当に罪な人だよね。

俺が医者を目指した以上、医者には絶対なるしそれまでの間も康二くんの足は俺が支えていくから。

他の誰でもない俺を頼ってね。

「あちっ、あちち…蓮くんもうちょっとでできるから！」

「うん、ゆっくり待つからゆっくりでいいよ。」

康二くんといると心臓のドクドクが止まらない。

下手したら康二くんに聞こえてしまうんじゃないかと不安にさえなる。

……康二くんは、俺のことどう思ってるんだろう。