抱きしめて守るから。 (ページ5)

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◇

岩本くんにそう言ってしまった手前、意識してしまったらまともに目すら合わせられなくなった。

「そういえば昨日からテスト期間に入ったんやろ？勉強は大丈夫なん？」

テスト期間中は部活がないから時間が合わないと思っていたけど、俺がその事を伝えたら康二くんも時間を変えてくれた。

もしかして康二くんも……なんて期待するけど

岩本くんが「あんなに話せる人は目黒が初めてなんだよ」と言っていたので

期待は期待で終わった。

「まぁそれなりに…？」

「まぁ初日はそんなもんよな、俺もそうやったし。」

「…そういえば康二くんって本来二年生だよね？学校には行ってないの？」

「…あー……まぁちょっと色々合ってな。」

隠さないでよ。

俺、知ってるんだよ。

康二くんがパーキンソン病だってこと。

でも言うか言わないかの判断は…

康二くん次第だから

君が心を開いてくれるまで

俺は待つよ。

◇

「だーーーーっ！！！！」

「はい、目黒休まない。」

「もう無理っす！！」

テスト期間の真ん中。

岩本くんの家で勉強会を開くことになった。

ということはもちろん康二くんもいるわけで。

「康二くん！！ここ分かんないんだけど…」

「ん？これはな……」

はい、ラウールお前アウトだよ。

え、何これ。見せつけられてんの？

俺が康二くんのこと好きって分かってて？？

「目黒…顔怖い。」

「え、あ…すみません。」

人見知りと言っていたけど、阿部ちゃん達とは結構すぐに打ち解けて今は

先程のとおり、ラウールにべったりくっつかれている。

「…あ、蓮くん。」

「……え。な、何！？」

「お茶切れてるな。ついでこようか？」

「お、おう、よ、よろしく！！」

だ、ダサすぎるだろ今の俺…。

おい、阿部ちゃんとラウールと深澤くん！！笑うな！！！

そしてなんか岩本くんは生暖かい目で見ないで！！！

はー、笑った笑った。と阿部ちゃんが勉強を再開させようとした時、

ﾄﾞﾀﾄﾞﾀﾄﾞﾀﾄﾞﾀｯ!!!!! と何かが階段から落ちるような音が聞こえた。

岩本くんは顔色を変えて部屋を出ていった。

俺らも顔を見合せて部屋を出る。

「っつ……。」

「康二、康二！！！足か？足痛めたのか！救急車…！！」

岩本くんの焦燥しきった顔に俺らは何も出来ないでいた。