4 ページ4
◇
「んふふ、蓮くん勉強苦手なんや。まぁ俺もそんなに出来るタイプやないけど…。」
「阿部ちゃんっていう毎回学年一位の人がいるんだけどその人に教えてもらってギリギリ赤点回避って感じなの。」
「大変やね…じゃあ蓮くんがいい点取れるようにおまじない！」
ぎゅっと手を握ってきた康二くんに焦る。
な、なん…え！？
「蓮くんがテストでいい点をとれますように。」
目を瞑って俺の手を握り続ける康二くん。
風で揺れる睫毛が綺麗でずっと見ていたら、急にパッと目が開いて目が合ってしまった。
やべ、俺変なやつって思われてない…？
「小さい頃によくしとったやつなんやねど…この歳になってもやるってちょっと恥ずかしいな、」
顔をほんのり染めて、上目遣いでまだ手を握ったままそういう康二くん。
心臓がきゅっと締まって、忙しなく動き出す。
…？ 俺も病気……？？？
◇
その時のことを次の日、ラウールに話すと呆れた顔をされた。
「それマジで言ってるの？」
「え、うん。」
さらにため息をついてじとっと俺を見てくる。
「で、その康二くんって人に脈はありそうなの？」
「みゃく…？？何の話…」
「え、目黒好きな人いんの？」
「うわぁ！？ふ、深澤くん…驚かさないで下さいよ。」
「あはは、ごめんごめん。」
ちょうどいいと、深澤くんにもその話をした。
そしたら、考えるような素振りを見せたあとスマホを取り出した。
その数分後、岩本くんがやってきた。
「目黒。」
「はい？」
「感謝はしてるが…これからの判断は康二に任せるつもりだ。別にお前らの幸せを願ってないわけじゃない。むしろ応援してるっつーか…とにかく傷付けたら許さないから。」
みんなして正直、何を言っているのか分からなかった。
康二くんの判断に任せる？
お前らの幸せ？
確かに俺は康二くんを守りたいけど…
昨日の康二くんを思い出す。
………あぁ、なんだ、そういうことか。
昨日心臓が締まったのも煩かったのも全部。
俺が康二くんに恋したからだったんだ。
「岩本くん。俺は康二くんを悲しませたりしません。康二くんを支えていきたいし、守ってあげたい。
こんな気持ちになったのは初めてで…もしかしたら岩本くんが不満に思う事もしちゃうかもしれません。
でも、康二くんを思う気持ちは本気だから、ずっと応援してて欲しいです。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 208人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：HIMI | 作成日時：2023年4月28日 18時
