抱きしめて守るから。 (ページ1)

今日:14 hit、昨日:13 hit、合計:15,336 hit

1 ページ1

◇

部活帰りの夕焼け

そこで俺は夕焼けに儚く映る

綺麗な男の人を見た。

触れてしまったら今にも壊れて消えてしまいそうな

そんな雰囲気だった。

◇

「目黒〜！！」

友達は多い方だし、

「目黒くん♡」

モテるし、

「なぁ目黒、次の試合助っ人で出てくれ！」

運動もできるし、

「おま、目黒…その点数マジか。」

まぁ勉強は苦手だけど。

俺は人間として普通の幸せを感じて日々の生活を過ごしていた。

「最近照が心配だわ。」

「うん。分かる。」

教室を通り過ぎる聞き慣れた二人の声がして慌てて後ろを追いかける。

「ちょっ、深澤くん！阿部くん！」

「ん？おぉ目黒じゃん。」

「何？勉強はもう教えないよ。」

「え！？それは困る！…じゃなくて、岩本くんが心配になるって？」

先程話していたことを聞き返すと、二人は顔を見合せた後、こちらを見た。

「あーまぁそれが…」

「実はね、」

二人が言うには、岩本くんの義理の弟くんがパーキンソン病という病にかかり、

それなのに外に出て何処かをほっつき歩いているから心配で気が気じゃないのだと言う。

「てか、岩本くんに弟がいたんだ。義理だけど…。」

「あまり照のまで義理とか言うなよ。マジで可愛がってるんだからその弟くんのこと。話し出すと止まらないのよ。」

へー。と相槌を打って、岩本くんの弟のことを考える。
…その前にパーキンソン病ってなんだ。

「あ、阿部ちゃん。パーキンソン病ってなに…？」

「さすがに俺も分からなくて調べたら、ふるえたり転びやすくなったり、症状が進むと手足が思うように動かなくなるんだって…。」

「え…ヤバいじゃん。それ治んの？」

「今のところ薬療法しか出来なくて、完全にと言われたら…って感じ。」

そりゃ岩本くんも心配になるでしょ。

そんな病気を患って尚、外を歩くなんて家族にも自分にも影響を与えてるって思わないの。

「…あれ、ふっか達じゃん。」

「お、照！」

「え、岩本くん！？」

確かに最近、岩本くんとあってなかったけど分かる。

明らかに隈が出来て、少しやつれている。

…筋トレもしてないのか、少しだけ逞しい体が細く見えた。

いつも優しく、みんなのお兄ちゃん的な存在の岩本くんがそんな姿になっているのは痛々しくて見ていられなかった。