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愛セナiよ ページ5

Your side



ここから逃げなければ。


思うように動かない脚に焦りながら、なんとか玄関へと辿り着いた。靴につま先を乱雑に突っ込んだ。


ドアを開けるという簡単な動作にすら手こずり、ガチャガチャという金属音を響かせる。その金属音の速さや大きさが私の焦りをより一層加速させる。


それまで続いていたガチャガチャという一様な音が終わり、カチャッという高い音が鳴った時、やっとドアは開いた。少しずつ入り込んでくる外の光に、懐かしさがこみ上げる。






.







.






.








.







「あ、ひとみ。ただいま」








いた。









廉がいた。








今1番開いたくなかった人が

微笑みながら立っている。







「どうしたん?」

『やっ……』




目の前に立つ廉と、目線が違う。それさえも私にとっては恐怖を生み出す要因となっていて、脚は廉の横を通って逃げようとする。



すると、強く掴まれた腕。






「どこ行こうとしてるん?」




掴まれた腕を振り払って逃げようとするのに
力の差がそれを許さなかった。


『やめっ…………』



裏返った声がダサく響く。

宙で私の腕は動くのに、全く離れない廉の腕。

脚は、廉の部屋が遠ざかる方向へと動こうとしているのに

真逆にズルズルと動いていく。






「何があったん?ほら、中入ろ」

『やだ、やだっ』



優しい声に反して

強引に私の腕を掴むと、

廉は私を部屋の中へ引きづりこむように入れた。


バタン、と音がして、振り返ると玄関のドアは閉まっていた。




『廉、私、帰る!』

「早く、ケーキ食べよ?

俺走ってミルクティー買いに行ったんやで?

あ、そうそう、ナッツとかスナックも買ってきたんよ。

記念日なんやし盛大にお祝いしたいなぁって思ってん」

『廉、ねぇ、れん』

「ほら、早く靴脱いでや。脱がへんかったら部屋行かれへんよ?」

『やだ、脱がない……』

「ほんま構ってちゃんやなぁ、脱がせて欲しいん?ええよ」

廉がしゃがんだと同時に、もしかしたら脱がせる振りをして私の脚は折られるのかもしれないと直感した。





『……脱げる、大丈夫』

慌てて私が靴を脱ぐ姿を、廉は終始笑いかけながら見ていた。



脱いだ靴を揃えると、待っていたかのように廉は
声をかけた。



「ほら……行くで?」




嬉しそうに、私を見つめる。





さっきよりも、ずっとずっと嬉しそうなその表情。



その影に

本当の悪魔は隠れているだなんて

誰が信じるのだろう。

ダイJoウぶ→←コウIウフうニSiカ



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もも。 - お話が面白すぎて一気に読ませていただきました、!キュンとしたり、切なかったり、、。続き、更新されるの楽しみに待ってます、! (2019年2月6日 0時) (レス) id: 7822559aab (このIDを非表示/違反報告)
白。 - お話が面白くて一気に読みました。切なかったりぞくっとしたりきゅんとしたり、あなたさまの書かれる廉君と平野君がとても魅力的で..引き込まれます..凄く好きです。続きが読めるのを心待ちにしております..! (2019年1月12日 23時) (レス) id: 02ab738ad1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - 途中から涙なしでは見られませんでした!紫耀くんの立場になって読むと苦しかったです、、これからも更新楽しみにしてます!! (2018年3月29日 0時) (レス) id: 352a1f8854 (このIDを非表示/違反報告)
ひぃ(プロフ) - 面白すぎて最初から一気に1日で読みました!!どうなるのか楽しみです!廉くんこういう役似合いますね笑笑 (2018年3月17日 19時) (レス) id: 7eb0555a29 (このIDを非表示/違反報告)
ぴらみるふぃー(プロフ) - ねねけろさん» 更新遅くなってすみません!読んでいただきありがとうございます!ここからは一気に更新します!!! (2018年3月16日 1時) (レス) id: 715c5d55e9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴらみるふぃー | 作成日時:2017年4月22日 14時

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