君に狂わされた恋車 最終章 Ren

NAnIも ページ17

Your side



『……マイクロチップ？』

廉は画面を見つめた。

廉「マイクロチップでな、ひとみのことが分かんねん。何思ってるとか、何見てるとか、どこにおる、とか。

俺はな、ひとみのこと全部分かんねん。


何もかも知りたいねん。
分からんなんて俺不安やねん。


何思ってるんやろとか
何したいんやろとか
どこにおるんやろとか
何してるんやろとか
俺は全部知っていたいねん」

少年のように話す廉の言葉は、表情と釣り合いが取れていない。





廉「今やったら……俺のこと怖いって思ってるんやろ？神経伝達物質のノルアドレナリンが過剰に分泌し始めてるから、そんなん簡単に分かるで。

脳のどの部分がどう活発に動いとるかだけで
いとも簡単にそんな感情は解読できるんよ」


パソコンを見ながら笑う廉。









『やだ、やだ、いや……無理、もう別れる。
……そんなの嫌だ。やめて』

パニックになったせいで、これまで積み上げてきたものを私はいつだって容易く壊してしまう。



廉「別れられる訳がないやん。ひとみの行動は全部俺が管理できるんやから」



そういうと、廉はパソコンを弄り始めた。





『痛いっ……痛い痛い痛い！』

またもや訪れた頭の痛み。笑う廉。




廉「ははっ」


不気味に笑う廉の声が大きくなると共に、私の頭はどんどん痛む。頭が割られるように、中からズキンズキンと激痛が走る。
その痛さがあまりにも強すぎて、思わず意識が飛びそうになる。





廉「そういうことやから。全部俺の思い通りやから」

『……どういうこと』

廉「ひとみの脳の中に入れたマイクロチップで、脳の中の視床と体性感覚野と帯状回と前頭葉小脳に今刺激を与えてん。



要するに、自由自在に痛みを与えれるってこと。

痛みだけやないで。感情だって脳の作用で作られてることも分かってんねん。脳と感情は切っても切れへん関係やから、感情も俺が操る歯車や」




『何それ……。
こんなの、おかしいよ。こんなの嫌だよ』

廉「ひとみが変なことせんければ、俺何もせんよ。嫌だと思うってことは、俺と別れたいから？」

『だって、こんなの』

廉「一緒におってくれたら何もせん。怖がらんでええやん。なんでそんな顔するんよ」



パニックで次に言いたい言葉が出てこない。何もかもを、廉に言いくるめられてしまう。
そんな自分が情けない。なのに次言うべき最適な言葉も見つかりやしない。







『こんなの、犯罪だよ。やだ、やだ……』

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