君に狂わされた恋車４Ren Sho

157.秘密の告白 紫耀side ページ9

紫耀side


告白にも近い言葉を俺はどんどん発していく。


俺の言う“好きな人”という代名詞が

ひとみ自身であることにも気付かず
君は何の気なしに俺の話を聞く。


悲しいような、安心するような。

でもやっぱりどこか寂しい。




こんな風に、気付かれないように気付かれないように告白もどきしているなんて、情けない。



こんなことになるくらいなら永瀬とひとみが出会う前に告白でもしておけば良かった。
一か八かの勝負をすれば良かった。

「好き」って伝えておけば良かった。



こんなことになるくらいなら。



過ぎてしまった時間はどれだけ願おうとも戻っては来ない。誰も、過去に戻ることなんてできない。






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「矛盾してるって言われることくらい分かってる。



幸せになってほしいって思うのに
好きな人の笑顔を許せないときがある。

全部を全部、受け入れるだけって難しいんやないかな。

……少なくとも俺にとっては難しい。





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だから……好きな人の前でくらい、わがまま言ったらあかん？

“自分だけを見て”って
“愛して”って
“他の人のものにならないで”って。






ほんの些細なわがままをも聞いてほしいねん。

ふとした瞬間に髪の毛を触らせてほしいとか
石鹸の匂いを纏っていてほしいとか
隣にいて笑ってほしいとか。


そういう願いを聞いてくれるだけで
幸せになれんねん。


好きになった人がやってくれるから、そんなことにさえ幸せを感じてしまう。








お互いにわがまま言い合って

許し合って

尊重し合って

分かち合って

でも譲れないものだってあるから互いに話し合って

衝突し合いながらも妥協点を作って

そうやって2人で愛を深め合っていくんは

そんなにもおかしい？」



そう言い終わるとひとみは顔を曇らせた。





『そうやって、紫耀も廉を真っ向から否定するの？


……みんなと違うからって』

「俺は……」



ひとみの真剣な眼差しが俺の目に刺さる。

期待されている答えなんて分かってる。



俺が永瀬を擁護してやれば納得するんやろ？








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そんなん、する訳ないやん。

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