君に狂わされた恋車４Ren Sho

191.静かな教室 紫耀side ページ43

紫耀side



体育のせいで生徒のいない教室は寂しい。あの活気が嘘だったかのように静かや。
机の上にのったノートやプリントを持ち帰るため置き勉していた教科書類と重ね合わせていると、扉がいきなり開いた。





「平野」


振り向くと、岩橋がいた。

紫耀「……何やねん、授業は。
永瀬に指示されて来たんか？」




嫌味ったらしく吐いたその言葉は、想像以上に棘があった。



玄樹「……ひとみちゃんと同じこと言うね」

紫耀「は？どういうことや」

玄樹「ひとみちゃんにも保健室でそういうこと言われた。グルになってるとか、騙してるんでしょとか。
その真意は分かんないけど、俺そんなことしてないのに。



今だって、平野が保健室から出てくのが見えたから自分の判断で来ただけなのに」

言葉を出すのに時間がかかった。



紫耀「……俺も同じようなこと言われたわ。
グルになってるとか監視してるとか。

俺と岩橋のことすごい敵視してた」

玄樹「何それ。何で俺たちが……」





眉毛を八の字にして困る岩橋。








こいつもや。

何も分からない姿に、嫌気がさした。




.




紫耀「何でお前も分からへんねん！

あいつにハメられたんや。ここまで言ってんのに分からへんか？」

玄樹「ごめん、分かんない。
ハメられって何。あいつって誰？」

全然理解しない岩橋に、どんどん怒りが湧いてくる。きっとこいつは悪くないのに。




紫耀「俺らずっとあいつの計画の中におるやんか」

玄樹「計画？」

あぁ、そうだ。こいつは何も知らされてないんや。知る必要がなかったから知らされてない。ただそれだけのこと。

それなのに嫌味ったらしい言葉が出てくる。俺って、こんな奴やったっけ。






紫耀「何も知らんってのは幸せやな」

玄樹「ごめん知らなくて……」


紫耀「……ある夜いきなり、永瀬から俺にラインが来たんよ。ひとみが俺の悪口言ってるっていう内容で。

それを真に受けた俺は、そこから復讐やと名付けて、虐めた。知ってるやろ？俺の最悪な行動の数々。精神的にも肉体的にも苦しめて。笑えるよな。ホンマにアホ。大切な人自分の手で傷付けて取り返しの付かんことして。
永瀬に踊らされてんねん」

玄樹「なんで、そんなライン信じたの」

思い出すだけで、話すだけで、やっぱり苦しい。




紫耀「永瀬からのラインが来る少し前に言われててん。“永瀬がヤキモチ焼くからあんまり話しかけないで”って。それに悲しくなってたときやったから」

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