君に狂わされた恋車４Ren Sho

190.それぞれの表情 ページ42

Your side


私のせいで。

そう思うだけで吐き気に襲われる。



全身に力が入らない。

身体はいつものようには動かず、気持ち悪さだけが支配する。まるで自分の身体じゃないみたい。
脂汗が心地悪く、頭は痛み、目は開けていられず、耳で周囲の状況を把握していた。


一段落ついたのか、少しだけ落ち着いた時に
担任が「お時間は大丈夫ですか、今から治療費の書類を書いていただきたいのでお時間取らせてしまうんですけど」と言った後で
紫耀のお母さんが「もちろんです」と言ったので机の上では事務的な処理が始まった。



その場にいるのが嫌になったのか、紫耀は

「教室行って荷物取ってくる」

と不機嫌に言い残し、乱雑にドアを開けると保健室を出て行った。



すると担任は廉に気を使ってか

「永瀬、悪いな」

とだけ言い、作業を開始した。







身体が限界に来ていた私は、やっとの思いでベッドから出ると、青白い顔で教室を出た。

担任や紫耀のお母さんが私に何か言っていたけれど、そんなものに構っている暇はなかった。トイレへ、という意識しかない。



今にも倒れそうな状態で廊下を歩いていると、体育の時間なのにも関わらず廊下を歩いている玄樹君が見えた。

関わりたくないと思ったけれど隠れる気力なんてものはなく、簡単に見つかった。

私の異変に気づき、「大丈夫？」なんて薄情な言葉をかける岩橋くんに対応する余裕なんてなく。

「私が頭ポンポンされて涙流したことまで廉に伝えたんでしょ？
ほんと、お願いだからやめて。

そんな人信用出来るわけないじゃない」


わざと辛辣な言葉吐き捨ててトイレへ入った。




今の玄樹くんの表情なんて
今の紫耀の気持ちなんて
今の廉の考えなんて



浅はかな私には到底分かるはずもなかった。




歯車が１つ動き出せば

全てが狂い出す。

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