73.天使のパス ページ24
Your side
腕の表面が熱を持っているのか
痛みが増してきた。
バスケットボール特有のあのぶつぶつが
肌にとうとう浮き出てきている。
なんて気持ち悪い模様なんだろう。
自分の体の一部だなんて思いたくないほどに傷ついている。
それはきっと、カラダもココロも。
これが紫耀に付けられたのだと思うと
悲しくて辛くて涙がこぼれてしまいそうだった。
私にはこの苦痛に耐えられる自信がない。
なんとか上を向いて
涙を自分の瞳の中に戻し込む。
泣いちゃ、だめ。
負けちゃ、だめ。
ぐっと力を入れて下唇を噛んだ。
下唇を強く噛んだせいで口の中で血の味が広がった。
何やってんの、私。
深く深呼吸をして目をそっと閉じ
思考回路を止めた。
考えれば考えるほど辛くなるのなら。
もう考えなければ良いんじゃない。
私は痛みから逃げた。
.
「ひとみちゃん！」
声の方を向くと岩橋くんだった。
玄樹「いくよ！」
岩橋くんがにこっと微笑み
パスをする合図。
ちゃんとアイコンタクトをしてから飛んできた取りやすくてスピードも緩いパス。
バウンドも入れてくれたから
私でも簡単に取れた。
青黒いアザに触れることなく
手のひらだけでキャッチすることができた。
これも、岩橋くんの気遣いかもしれない。
岩橋くんは優しい。
その天使のような微笑みが
今の傷つきすぎた私には眩しすぎる。
受け取ったは良いけれど、誰にパスを出せば良いのか分からなくてあたふたしてしまう。
そんな私の様子に気づいたのか
「こっち！」
と呼ぶ岩橋くんの声が。
私にパスを出した後
すぐに彼はゴール下へ走っていたらしい。
だから迷わずリターンパスすることができた。
そして見事岩橋くんはゴールを決めた。
『ナイス！』
思わず大きな声でリアクションしてしまった。
岩橋くんはそれに気づいて笑顔を向けてくれた。
彼にグーを向けられたので
私もグーを出してタッチした。
玄樹「パスありがとね」
『岩橋くんがゴール下にいてくれたから渡せたんだよ』
気付けば自然と笑顔が溢れていた。
.
.
「ばっかみたい」
「ほんと、うざい」
「紫耀くんに廉くんに玄樹くんに。
そろそろいい加減にしてほしいね」
「でもまあ、
笑ってられるのも今のうちなんじゃない？」
.
自分から嫌われる原因を増やしているだなんて
ばかな私は気付かない。
私たちのやりとりを微笑ましく見ている人なんて
誰もいない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 802人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
hina - 読み始めたら、止まらなくて一日で読んでしまいました･･･(汗)だんだん本性が現れていく廉くんは、読んでいてドキドキしました。とても面白かったです！ (2019年1月25日 0時) (
レス) id: 5df0dbe2fc (このIDを非表示/違反報告)
ぴらみるふぃー(プロフ) - yuiさん» 朗読してもらえただなんて……！嬉しすぎます！鳥肌立ったと聞いてびっくりしました！笑 yuiさんのコメントのおかげで、この98話目を大幅に変更して書き上げることができました。ありがとうございました(*^^*)とても参考になりました。 (2016年7月17日 5時) (レス) id: 35f37a8100 (このIDを非表示/違反報告)
yui - そういうことだったんですね！！！！朗読しちゃいました笑 そして何よりドキドキしすぎて鳥肌立ちました（ ; ; ） (2016年7月17日 3時) (レス) id: 9d144d7bf6 (このIDを非表示/違反報告)
ぴらみるふぃー(プロフ) - yuiさん» ここから急展開かもしれません笑 楽しみにしててください！！そんなこと言われると照れちゃいます(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) (2016年7月16日 23時) (レス) id: 35f37a8100 (このIDを非表示/違反報告)
yui - え！？！？この展開…気になりすぎます…どう捉えていいか…さすがぴらみるふぃーさん（ ; ; ） (2016年7月15日 23時) (レス) id: 9d144d7bf6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぴらみるふぃー | 作成日時：2016年5月5日 18時
