72.悪意のパス ページ23
Your side
きっと今ゲームを止めたら
もっと廉に心配かけてしまうから。
そしたらさらに私が廉を縛り付けてしまう。
きっと廉はどんなに私がワガママな願い事を言おうと笑顔で聞いてくれる。優しすぎるから。
これ以上甘えてはいられない。
廉が戻ってきたら笑顔で言うんだ。
「ゲーム楽しかったよ」って。
少しでも廉を安心させたいから。
.
そんなことをグルグルと考えていたら
バンッ
予想もしないところからボールが飛んできた。
それは紫耀からだった。
私を睨みつける紫耀がパスしたのだとすぐに分かった。強くて腕にアザができそうなパス。
バウンドも無かったから
紫耀が入れた力の全ては
私の両腕に余すことなく吸収された。
いきなりのことで
キャッチする姿勢になっていなかったから
お腹にまでボールがのめり込んできて痛い。
その衝撃で少しだけよろけた。
『いった……』
不意に溢れたその声は
紫耀に届いてしまった。
紫耀「ゲーム中によそ見とか。
パスもろくにとれへんのやな」
わざわざ私のところまで来て
ハスキーボイスで放たれた言葉。
私を蔑んだように見てくる。
きっとこの声は私以外に聞こえていない。
____________本当に紫耀なの？
疑っても疑いきれない
今この場で起こった出来事に
ただただ呆然とする。
目線を下にやると
既に両腕は青黒くなっていた。
ジンジンとした痛みが
嘘ではなく現実だったことを私に知らせる。
『なんで……』
私がどうであろうと時計は止まらない。
ゲームは続いていく。
ボールが軽やかに動いていく。
そんな様子をぼうっと眺める。
もちろん、ボールが私の所へ来ることは無かった。
誰かがゴールしたとき
さっきとは打って変わった
紫耀の明るい声が体育館に響いた。
紫耀「ナイス！」
「ありがと！紫耀くんのパスのおかげ！」
さっきの私へのとはまるで違う。
ちゃんと合図を送ってからキャッチしやすいように優しく投げられたパス。
そんなパスだったら私だって同じようにキャッチできた。
私へのパスに悪意があったことを
自ら証明してしまったことへの後悔が募る。
考えなければ傷付かなかったのに。
ほんと、ばかだ。
紫耀「誰かさんと違って上手いわあ」
わざとこっちを見て笑ってくる。
タチが悪い。
紫耀ってそんな人だった？
そんなにも卑怯だった？
現実と分かっているのに
まだ私は飲み込めない。
どうしてそんなにも私をいじめるの？
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hina - 読み始めたら、止まらなくて一日で読んでしまいました･･･(汗)だんだん本性が現れていく廉くんは、読んでいてドキドキしました。とても面白かったです！ (2019年1月25日 0時) (
レス) id: 5df0dbe2fc (このIDを非表示/違反報告)
ぴらみるふぃー(プロフ) - yuiさん» 朗読してもらえただなんて……！嬉しすぎます！鳥肌立ったと聞いてびっくりしました！笑 yuiさんのコメントのおかげで、この98話目を大幅に変更して書き上げることができました。ありがとうございました(*^^*)とても参考になりました。 (2016年7月17日 5時) (レス) id: 35f37a8100 (このIDを非表示/違反報告)
yui - そういうことだったんですね！！！！朗読しちゃいました笑 そして何よりドキドキしすぎて鳥肌立ちました（ ; ; ） (2016年7月17日 3時) (レス) id: 9d144d7bf6 (このIDを非表示/違反報告)
ぴらみるふぃー(プロフ) - yuiさん» ここから急展開かもしれません笑 楽しみにしててください！！そんなこと言われると照れちゃいます(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) (2016年7月16日 23時) (レス) id: 35f37a8100 (このIDを非表示/違反報告)
yui - え！？！？この展開…気になりすぎます…どう捉えていいか…さすがぴらみるふぃーさん（ ; ; ） (2016年7月15日 23時) (レス) id: 9d144d7bf6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴらみるふぃー | 作成日時：2016年5月5日 18時
