ズットソバニイル Yuta (ページ7)

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7.ニュースページ7

朝起きると、必ず彼はいない。

ひとりぼっちの朝は、なんだか虚しい。

まだ両親は来ておらず、私は気になっていた病院の個室を探ることにした。

何故ここの部屋のテレビはつかないんだよ、と思いテレビを睨みながら、クローゼットなどを開けてみた。すると、クローゼットの中にはテレビのリモコンが入っていた。リモコンをテレビにかざすと、普通についた。画面にも音にも、なんの異常もない。

お母さんって、おっちょこちょいなんだなぁ。そう思うと、少しだけ可愛らしくて感じられた。

テレビをつければ、朝だからかどこの局も情報番組ばかり。天気予報や当たる訳も無い星座占いが終わると、ニュースコーナーになった。

どうやら、殺人事件のようだった。私が寝ている間に、陰惨な事件が起こっていたようだ。テレビの画面を見るのもなんとなく悲しくなって、外を見ながら声を聞いた。

「亡くなったのは、大学生の男性、神宮寺勇太さんで、彼女のAAさんは一命を取り留めたものの１週間ほど意識不明となり、現在意識は回復したようです」

その声と共に、私は鈍器で打たれたような衝撃を受けた。

.

画面を見るのが怖い。

私が、事件に巻き込まれていた？

思考が停止していると、

「A！！！」

と言って母親が大声をあげて私の元に駆け寄った。今まさに病室に来たところらしい。机の上に置いてあるリモコンを奪うと、テレビの電源をすぐさま消した。

フリーズしたままの私を見て、全部気づいたようだった。

『私、私……』

「ごめんね、傷つけたくなくて、ずっと黙ってたの」

母親が私を抱きしめる。

でも、全然嬉しくなんかない。

『は、離して……』

私の初めての感情を聞いた母親は、ひどく傷ついたような表情をした。

『勇太は、勇太はいる。どう言うこと？勇太が死んだって！』

「……なんで、勇太くんのことを覚えてるの」

母親が驚いたような目で私を見つめる。

『覚えてるとかじゃない、毎日あってるから……』

「何言ってるの……」

何もかもがおかしい。

おかしい、おかしすぎる。

私は、ゾッとした。

昨日も一昨日も、会いに来てくれた勇太は、一体何なの。