君に狂わされた恋車 Ren Sho

33. 数学プリント 紫耀side ページ33

紫耀side


教室に入ると、ひとみは俺から離れて行く。
いや、正確には
俺が自分の席について、ひとみが自分の席に向かうだけなんやけど。

今日もひとみは永瀬に笑顔で挨拶をする。
永瀬もそれに笑顔で返事。

……見てられへんよ、こんな光景。





.








「平野ー！」

誰かと思って見ると、担任が俺を呼んでいた。

紫耀「なにー？」

担任「お前、昨日の数学の課題まだ出してないだろ？
今日その課題終わるまで居残りな」

紫耀「数学の課題？

って、俺昨日出したで！？」

担任「いやいや、確認してもお前のプリントだけ出てなかったぞ？」

紫耀「いや、そんなはずあらへんやん！
絶対あるはずやって！」

担任「昨日集めたプリントの山は教卓の上にあるからもう一回確認するか？」

紫耀「おん、してみる」

教卓へ行きプリント一枚一枚を確認する。
もしかしたらはさまってるかもしれんへんしな。

全てのプリントを丁寧に2回も確認した。


が、俺のプリントはない。





「紫耀、やってないんやろー？そんなことしたって無駄やって」
「素直にちゃんとやれって！」

クラスの奴らがバカにしてくる。


いつもはノリで返すけど、今そんな余裕ない。


紫耀「……ちゃんとやって出したわ」


問題の意味が訳分からへんかったから答え丸写しやけど、ちゃんと解説も書いて提出した。
俺のプリントだけ紛失するとかどんだけついてないねん。




担任「無かっただろ？
素直に今日は残ってやってけ」

腑に落ちない。ちゃんとやったのに。





.






重い足を引きずり、ひとみのところへ行く。

紫耀「ひとみ……」


『課題プリント無くなっちゃったんだね。

私のプリント見る？』

頷いて答える。


やっぱりひとみは、俺が課題やってきたって信じてくれる。
ほんま、こういうところ好きや。






紫耀「だからな、今日一緒に帰られへん」

これが一番言いたくなかった言葉。

別に、課題プリントの1枚や2枚紛失したって
そんなムカつかん。
でも、ひとみと帰れんくなるのはめちゃくちゃ嫌や。


『そうだよね。

了解。

プリント頑張ってね』

優しく笑うひとみ。



2日連続で一緒に帰れないって
どんだけついてへんのやろ。

今日はホンマに嫌な1日や。






.





永瀬と一瞬目があった時、




言葉に出来ないような嫌な予感がよぎった。

とてつもない不安に襲われた。




睨むように、そして嘲笑うかのように永瀬は俺を見ていた。

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