君に狂わされた恋車 Ren Sho

26.屋上の二人 紫耀side ページ26

紫耀side

ひとみと仲が良いハルって子が休みやったから、ひとみは俺と一緒に食べようって言ってくれるんちゃうかって期待してた。

もしもひとみが言ってこおへんかったら
自分から誘おう。
そんなこともちゃんと決めていた。


昼休みが始まっても俺のところには来おへんかったから、自分から誘おうとしていた。

ひとみ。

そう声を掛けようとすると
ひとみはもう教室から出て行ってしまっていた。

近くで聞こえる
紫耀そろそろ食べよーぜ
紫耀食べよーよ
の声。

なんで俺は1番欲しいものが手に入らんのやろ。
自分でも情けなくなる。


こいつらと仲良くすることと
ひとみと仲良くすること。
どちらかを選べと言われれば迷わずひとみを取るのに。

どうしてそれを現実に出来へんのやろ。





多分屋上へ行ったんやろな。
ひとみのすることは分かる。








いつもより早く食べ終わると
グループから抜けて屋上へ駆け上がった。




屋上のドア越しに聞こえるひとみの笑い声。

一緒に笑っているのは……









永瀬？


絶対に永瀬の声やった。

あの、ちょっと高めの声。




なんでなん？なんで永瀬とおるん？
急に仲良くなりすぎちゃう？


止まらない胸のザワつき。



こんなにも危機感を覚えたのは初めてやった。





このドアを開ければ2人がおる。


______________________開ける？開けない？


俺の答えは







.







開ける。やった。


そりゃそうやろ。絶対に取られたくない女がおんねん。
黙って引き下がれる男が何処におんねん。

少なくとも俺は、引き下がれないタイプや。









.









キキキ

重いドアをあけると、

案の定
楽しそうに話す2人の姿が目に入った。


『あ、紫耀！』

顔の横で俺に手を振るひとみに近づいていく。


俺の姿を見た瞬間に
永瀬からは笑顔が消えた。


まるで、俺を邪魔者扱いするかのように。



こいつもひとみのことが好きなんやろ。

見てれば分かるわ。
バレバレやねん。

いや、バレバレというより
俺に気付いて欲しくてわざと大袈裟に態度に出しとるような感じもある。

なんとなく、ひとみからこいつを引き離すのは一筋縄ではいかないような気がする。

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