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「…ねえ、なんで生きてるの？」
「あんたなんかいらないわよっ！！どうして私が育てなきゃいけないの…！？」
「お前なんてこの家…いや、世界に必要とされてないんだよ。」
「はやくしねばいいのに」
生きてる？育てる？家？世界？必要？しね？
なぁに、それ。
私はそんなもの知らない。
私はあなたたちにとってどんな存在なの_
ー10年前ー
「まぁ、可愛い！」
「なあなあ母さん、この子、養子として迎えようよ！」
「俺らのところで育ってみるか？」
物心すらついていないとき。
私はいまの…かぞく？にひろわれた。
あに、はは、ちち。
意味はわからないけど、いつも一緒にいるひと。
「たんとおたべ。」
「あっちで一緒に遊ぼう」
「あはは、お前は本当に可愛いなぁ」
やさしいかった。
やさしい人達だった。
やさしいことをしてくれた。
やさしい
やさしい
やさしい
『…やさしいって、なーに？』
「うん？…それはね、だれかに温もりを与えられることかしら」
『…なら、おかあさんは…やさしい？』
「あら、うれしい！そんなこと言えるようになったのね。」
…うれしい？
また、知らないことば。
『…やさしい。みんな、やさしい』
「あはは、いい子ね。あなたも優しいわよ？」
やさしい人と、いっしょ。たのしいかった。
しあわせだった。みたされていた。
なのに。
「ああもう！！あなたが浮気なんてするから！！」
「お前だって酒に溺れてたじゃねえか！！！
金がねえうえにまだ酒買うのか！？」
「第1あなたが女に騙されるのが悪いんじゃない！！」
さいきん、みんなぼろぼろだ。
「勝手に入ってくんな！！」
おにいちゃんは、私にやさしいくない。
おかあさんも、おとうさんも、やさしいくない。
こ わ れ ち ゃ っ た ん だ 。
みんな。みんなみんな。
ーー
「…ねえ、あなたに保険金かけて殺せば…私達はたすかれるんじゃあないの」
「…こいつ、もう使えねえボロ雑巾だしな」
「所詮いい家族を演じるための道具だったし」
「「「…もう、いらない」」」
みんなの目が…
いやだ。やだ。やだよ。
ここに、いたくない。
「…簡単なことじゃない…なんで今まで思いつかなかったのかしら」
「これで昔みたいな幸せが手に入る！」
「ごめんな母さん。もう浮気なんてしない」
「私もお酒は控えるわ」
「俺も家に貢献するよ」
…もしかして
私
いなくなっちゃうのかな
いらないから
けされるの？
だめだ
にげなきゃ
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作者名：しらたき | 作成日時：2019年6月15日 18時
