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私よりは我慢強いけど、鼠色の空は今にも泣き出しそう。
「また廉?」
私を真ん中にしてベンチに座った二人は、私の顔を心配そうに見つめた。
「………ごめんね、授業始まっちゃう」
「今日はサボる」
「うん。サボる」
どうしても泣きやめない私がしゃくりあげながら無理やり笑顔を作ると、紗千香が眉を下げた。
「こんなときまで、私たちのために笑おうとしなくていいんだよ」
いつも頑張りすぎだよ。
そう言って二人は私の肩を抱いて、泣き止むまで側にいてくれた。
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涙も止まり、ぽつりぽつりと廉の言葉や様子を話し始めた。
「そんなこと言われたんだ……」
「関係ないってなんなの」
二人は………八割型怒っていた。
怒りながら頷いて、怒りながら私の肩を摩った。
「ていうかなんであいつがそんな怒ってるわけ?あいつ告っても付き合ってもないくせにさ」
「ちょっと紗千香!それはちょっと……」
慌てて紗千香を窘めた美月ちゃんと、はっとした顔をした紗千香。
ごめん、と謝られて初めて意味を理解する。
「ううん、いいの」
だって本当の話じゃない。
私たちはもともと付き合ってなかったし、私の片思いだった。
そもそも……
優しくされて、言ってほしいことたくさん廉が言ってくれたから、紗千香たちが言うことは合ってるかもしれない
廉は私のことが好きかもしれないと、心のどこかで思ってたから。
だからあの反応がこんなに辛いんだ。
「Aちゃん………」
美月ちゃんにも紗千香にも、辛い顔させちゃった。
「大丈夫だよ」
そう言ってから頰を上げた。
何が大丈夫かなんてわからないけど………
大丈夫にするしかないじゃない。
また傷つくなら、何も期待しないこと。
それが多分、今の私には一番大事だ。
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紫奈(プロフ) - コメント失礼致します。お話とっても暖かく可愛く、どこか切なく、とっても素敵です。美月ちゃんとしょう先輩の関係も気になりますし、2人のその後が見てみたいので、ぜひ続編を書いていただきたいです。ご検討よろしくお願いします。 (2019年11月24日 0時) (レス) id: 968fec07e5 (このIDを非表示/違反報告)
ヒロタ(プロフ) - ゆゆさん» ありがとうございます〜!機会があればその後の二人も考えたいと思います(^^) (2019年9月6日 10時) (レス) id: 04477a7f36 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - こちらの作品大好きです!この2人のその後のお話も見てみたいです(*^_^*) (2019年9月5日 21時) (レス) id: 54e43fc953 (このIDを非表示/違反報告)
ヒロタ(プロフ) - あやぴさん» 初コメントありがとうございます!人に気持ちを伝えるのは簡単なことじゃないんだなと私自身焦らされながら書いていました(笑)機会があれば、その先の二人にも会いたいですね!検討します(^^) (2019年9月5日 16時) (レス) id: 04477a7f36 (このIDを非表示/違反報告)
ヒロタ(プロフ) - ひかるさん» わざわざコメントありがとうございます(^^)な、なんとマニアックな永瀬担…主人公はほとんど揺れずバッサリでしたね、恐ろしい!レンレンは永遠のリア恋枠なので純愛@高校生レンレンお届けできてよかったです☆ (2019年9月5日 16時) (レス) id: 04477a7f36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヒロタ | 作成日時:2019年8月18日 21時