熔けた恋に名前を 2

49 side Ren ページ5

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前から決めとった。









あいつが先輩と再会する前から、告るなら部活を引退してからって。









Aがずっと憧れて、別れて、長い間ひきずった人は、なんでもできる人やった。









勉強も運動もできて、優しくて、部活も行事も何にでも一生懸命で、賢くて、余裕があって。









男の俺から見ても、飛び抜けてかっこいい人。









だからこそ、何も勝てない俺は、勝てる努力をせんとあかんかった。









そこまでAの気持ちを縛り付けてるその人を超えないと、いつか取り返される。









引退前に大会も控えた部活は、俺の決意を目に見える形で表してくれた。









3年になって、なんとなくAが俺のことを意識してくれるようになって、すごく嬉しくて。









Aに近づけてる実感があった。









そんな時にあいつが先輩と再会した。









あの高嶺の花は、自分がどれだけ目立つかわかってない。









少しのアクションが学校を駆け回る噂になるほどだって、少しも気づいてない。









友達伝いでそれを聞いて、部活のことが頭から飛んだ。









あれだけ好きな部活を、早く引退したいと思った。









間に合わないと。









部活にどんどん集中できなくなって、焦って。









でも海人曰く変なところ真面目な俺は、引退前に気持ちを伝えるなんて考えもしなかった。









Aに電話をして、むしろ決意が固まった。









焦りを捨てるためにAへの想いを封印する。









電話越しの彼女は、グラグラ揺れて、不安定だった。









もう中途半端なことはできひんって確信した。

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