7章:5『怪しいのはあの男』 ページ46
それなのに、紡は事務所に戻っている。
それは、陸が仕事を終えて、少なくとも事務所近くへは車で送ってもらった後であるということ。
環「…大丈夫かな、りっくん。」
料理を皿に盛り付けながら呟いた環の言葉が、その場を更に不安にさせた。
ナギ「三人は外へ出れないですし、ワタシが外へ探しに行きましょうか?」
テーブルを拭いていたナギが名乗り出た、が。
「いや、俺が探しに行ってくるよ。」
突然現れたその人物に、一同の視線は一気に集められた。
仕希「…兄ちゃん?」
万理「三月くんにとある用件で呼ばれたから来たんだ。もう遅い時間だし、俺が探しに行くよ。」
壮五「すみません万理さん、わざわざ寮へ来たばかりだというのに…」
申し訳なさそうにする壮五に、万理は笑顔を向ける。
万理「そんな、気にしないで大丈夫ですよ。」
その声のトーンは、不思議とみんなを安心させた。
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三月「それで、あれから仕希の様子もおかしいし、こっそりラビチャで万理さんに相談したんだよ。」
大和「そうか…。とりあえず、あの男のことはアイツらには言っていないんだな?」
三月「言っていないよ。石を投げてきた犯人について聞かれた時も、なんとか誤魔化したし…。」
ようやく事の経緯を話し終えた三月とそれを真剣な表示で聞いていた大和は、今後どうするかを話し合い始めた。
三月「流石に、そう長くは隠していられないと思う。環はきっと、俺たちが隠し事をしていることにすぐ気づくだろうし。」
周りの様子をよく見ている環に全く気づかれず…というのは難しそうだ。
大和「だろうな…。それに、仕希は勘が鋭い所があるし、何よりイチはお前さんの実の弟だ。兄の様子が少しでも違っていれば、すぐ気づかれちまうだろうな。」
二人が悩んで静まり返った部屋に、三月の携帯の通知音が鳴り響いた。
三月「…あれ、九条からラビチャだ。」
交換して以降、特にメッセージのやり取りはしていなかったのだが。
三月「………これ…」
三月が大和へ見せた画面には、天からのメッセージ。
“同じ兄として、キミに相談があるのだけど。”
…兄として。
それは弟のことで何かあったということだろう。
まだ特に何も聞いていないが、今の現状と重なる部分を感じ取れた。
大和「とにかく、その相談事を聞いてみよう。」
三月が天に、返事を送った。
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草津蓮哉(プロフ) - 欅さん» コメントありがとうございます!学業の関係で中々更新できていませんが、時間を見つけて少しずつでも更新していこうと思っております。推しは環と万理さんです…! (2020年3月5日 7時) (レス) id: ef06dcdedf (このIDを非表示/違反報告)
欅 - この作品に巡りあえて幸せです! お忙しいとは思いますが、頑張ってください。応援してます。 推しは誰ですか? 私は三月推しです! (2020年2月4日 22時) (レス) id: 94cd216a66 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:草津蓮哉 | 作成日時:2018年5月30日 2時