6章:8『兄の在り方』 ページ40
環「不本意…?で休むことになっちゃったけど、迷惑かけることに変わりはないから…。もし持ち帰りの仕事とかあったら、遠慮なく教えてよ。俺も手伝う。」
壮五「環くん……。」
そうだよ、この子はこんなにも心優しいじゃないか。
先程自分が考えてしまった言葉に二重線を引く。
壮五「ありがとう。」
笑顔で言う壮五に、環も満足そうに笑った。
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ナギ「ミツキ、体の調子は?」
三月「うーん、熱はまだ引いていないけど、昨日よりはずいぶん楽になったよ。あんなずぶ濡れになったら、そりゃあ風邪ひくよな。」
苦笑いする三月は、いつもより力のない声で話す。
ナギ「ミツキ、無理して笑う必要は無いですよ。」
真剣に言うナギの視線からは、本気で心配している事がよく伝わる。
ナギ「バンリとシキか朝食を作ってますよ、フルーツだけでも食べますか?」
ミツキ「じゃあ…お願いしようかな。」
返事を聞いてすぐ「持ってきます!」と飛び出して行ったナギを見送り、静かになった部屋にため息をこぼす。
昨日の男に言われた言葉が、ずっと脳内に流れている。
何をするにも完璧な一織のことだから、もしかしたら兄の助けなど要らないかもしれない。
…でも……。
アイドルになってから、他の兄弟の様子をよく目の当たりにする機会が増えた。
万理さんも九条も、弟のことをよく考えているし、弟のために動くことなんて無意識にも出来ているのだろう。
環だって、アイドルになると決めたきっかけすらが妹を見つけるためだなんて、すごい行動力だと思う。
オレは、どうだろうか。
何でもソツなくこなす弟を自慢に思っている反面、何かしてあげるどころか自分がしてもらっていることが多い気がする。
三月「あの男の言葉以前に、オレは一織の兄として何かしてあげられているのかな…」
一織「兄さんは兄さんですよ」
突然開いた扉の前には、一織が立っていた。
三月「え、一織…?」
一織「すみません、聞き耳を立てるつもりは無かったのですが…。それに、ノックも無しに扉を開けてしまって…」
三月「そんなこと、気にしなくていいのに。」
これ以上考え込んでいても疲れてしまうだけだし、丁度いいタイミングだったと思う。
一織「先程の話ですが…」
さっきの言葉、無意識に声に出ていたのか。
そりゃあ一織も、思わず部屋に入って来てしまうわけだ。
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草津蓮哉(プロフ) - 欅さん» コメントありがとうございます!学業の関係で中々更新できていませんが、時間を見つけて少しずつでも更新していこうと思っております。推しは環と万理さんです…! (2020年3月5日 7時) (レス) id: ef06dcdedf (このIDを非表示/違反報告)
欅 - この作品に巡りあえて幸せです! お忙しいとは思いますが、頑張ってください。応援してます。 推しは誰ですか? 私は三月推しです! (2020年2月4日 22時) (レス) id: 94cd216a66 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:草津蓮哉 | 作成日時:2018年5月30日 2時