6章:4『遭遇』 ページ36
ラビチャにメッセージを送り、仕希と三月が歩き始めたその頃。
梨将「うわっ」
大雨の中、梨将達の前を全力疾走で駆け抜けた人がいた。
フードを被った長身の人。
なんとか避けたものの、ぶつかっていたら確実に転んでいただろう。
とにかく先を急ごうと走る二人の前に、オレンジと青の髪を見つけた。
一織「兄さん!」
緊張の糸が緩んだ一織が、兄の元へ走る。
梨将もその後に続いて走った。
三月「一織…、ごめんな、心配させて…」
梨将「仕希、何があったんだよ」
傘など何も意味が無いのだが、せめて少しでも体への負担を防ごうと、一織と梨将は傘を開き、二人を招き入れた。
仕希「さっき、フードを被った長身の人が…」
三月「仕希!」
梨将に事情を話そうとした仕希の言葉を、三月が叫んで止めた。
三月「なんでもないから…。心配かけてごめんな、もう帰ろう」
何か焦ったように歩き出す三月に、三人はついて行くしかなかった。
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ラビチャを見て、ホッと肩を撫で下ろす。
結局使わずにいた傘二本を腕にかけ、届いたメッセージに返信した。
携帯を仕舞い、歩き始めたところで人とぶつかった。
相手が走って来ていたこともあり、お互い派手に倒れてしまった。
大和「…大丈夫ですか」
ぶつかってきた相手の顔を覗き込む。
ずいぶんと背が高いその人は、覗き込まれていることに気づいてフードを深く被った。
少し見えた感じだと、どうやら男らしい。
ゆっくり立ち上がった男は、小さな声で「すみません」とだけ言い、足早に立ち去ってしまった。
不思議に思いつつも、ふと足元に携帯が落ちていることに気づいた。
あの男のだろうか。
画面が開いたまんまの携帯を拾い上げると、チラッとだが見慣れた名前が書き込まれていた。
スケジュール表のようなものがいくつか写った写真だった。
人の携帯の中身を覗くのは良くないと、電源ボタンを押そうとした。
…が。
大和「…一織のスケジュール表?」
偶然名前が一緒なんてものではない。
和泉一織とフルネームで書かれている。
その中で、高校生組で仕事が入っている日に赤マルが付いている。
どこから情報が漏れてるんだ…。
赤マルも気になるが、とりあえず他人の携帯を持っている訳にもいかない。
交番に届けに行くか。
…マネージャーにも、伝えよう。
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草津蓮哉(プロフ) - 欅さん» コメントありがとうございます!学業の関係で中々更新できていませんが、時間を見つけて少しずつでも更新していこうと思っております。推しは環と万理さんです…! (2020年3月5日 7時) (レス) id: ef06dcdedf (このIDを非表示/違反報告)
欅 - この作品に巡りあえて幸せです! お忙しいとは思いますが、頑張ってください。応援してます。 推しは誰ですか? 私は三月推しです! (2020年2月4日 22時) (レス) id: 94cd216a66 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:草津蓮哉 | 作成日時:2018年5月30日 2時