4章:6『立場』 ページ26
けれど、やはり本人の口から聞かなければ。
誰かに話せばきっと多少なら楽になれる。けど、梨将は話したくないかもしれない。
無理には聞かない。
だって、百は梨将の気持ちがわかるから。
無理に聞き出して、少しでも違う角度から手を差し伸べてしまえば、きっと潰れてしまう。
百は、梨将が口を開くのを待った。
梨将「…百さん、今少し、時間ありますか…?」
百「うん、あるよ。とりあえずこっち来なよ」
百は先程自分が出てきた建物のロビーへ梨将を連れてくる。
今日はこの場所でRe:valeが仕事をしているらしい。
椅子に座り、すぐに梨将が口を開いた。
梨将「あの、俺は…、このまま使祈とデビューしてもいいのでしょうか」
こんな中デビューをして、使祈のファンが離れていってしまったら、それは自分の責任だ、と…。
喜んでいるのは自分だけで、本当は使祈の隣に立つ資格は無いのでは…。
思っていることを全て話した。
その全てを、百は真面目に聞いていた。
そして、昔の自分と重ねていた。
自分はこの人の隣に居てもいいのか、自己満なのではないか、と考えて悩み続けた自分に。
一人で抱え込み、最終的には勝手に追い詰められてストレスになってしまった。
梨将はこの数ヶ月の間に色々なことが一気に集まってしまい、余計にストレスとなっているかもしれない。
ファンの反応なんて、一番傷つくものだ。
でも。
千「あれ、梨将くん……?」
梨将「あっ…お久しぶりです、千さん」
百を呼びに来た千が、梨将に気づく。
百「ファンの気持ちも大事だけど、やっぱり相方の気持ちが一番大事だよね!」
そう言い千の方を見て笑顔を見せる。
千「?なんの話をしてたんだい?相方?」
話の流れがわからない千を他所に、梨将は立ち上がった。
梨将「すみません、話を聞いてもらっちゃって…。でも、大分気持ちは楽になったし、これから自分がすべき事もなんとなくだけど、わかりました」
それでは、と礼をして、走り去っていく梨将の背中を見送る二人。
百「まぁ、あの二人なら相方より相棒のほうが合ってるかな?」
千「百、一体なんの話をしていたんだい?」
百「えへへ、秘密ーー!」
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走って寮まで戻ってきた梨将は、勢いよく開いた玄関のドアにぶつかった。
仕希「あぁぁぁごめんなさ………って、梨将?!」
ドアを開けたのは、仕希だった。
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草津蓮哉(プロフ) - 欅さん» コメントありがとうございます!学業の関係で中々更新できていませんが、時間を見つけて少しずつでも更新していこうと思っております。推しは環と万理さんです…! (2020年3月5日 7時) (レス) id: ef06dcdedf (このIDを非表示/違反報告)
欅 - この作品に巡りあえて幸せです! お忙しいとは思いますが、頑張ってください。応援してます。 推しは誰ですか? 私は三月推しです! (2020年2月4日 22時) (レス) id: 94cd216a66 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:草津蓮哉 | 作成日時:2018年5月30日 2時