3章:2『叫び声』 ページ16
二次会の会場には、やはり番組の参加者のほとんどが集まった。
元いた事務所の先輩方もたくさん居る。
「久しぶりだね」「この前◯◯に出てたよね」など、和気あいあいとした雰囲気の中、兄ちゃんの携帯が鳴った。
MEZZO"のほうで何やらトラブルがあったらしく、紡さんから電話が来たのだという。
電話を続けるため、兄ちゃんは一度会場から出た。
この時、怪しんでいればよかった。けれどこの段階で怪しめていれば、それは相当感の鋭い人だと思う。
今回優勝した、先輩と挨拶を交わしている時に、“それ”は起こった。
会場内の照明の一部が消える。
薄暗い、けれど完全な暗闇でもなく、周りの様子はハッキリ見えるほどの暗さ。
そうして仕希の……いや、アイドルである使祈の横へ、天井に吊るしてあった照明器具が、勢いよく落下してきたのだ。
薄暗い背景。落下する大きな物。周りの悲鳴。
全てが…全ての条件が、揃ってしまった。
まだ幼い頃の記憶が蘇る。
大好きだった場所で、大好きだった歌声が聞けなくなった、あの事故が。
足元に飛び散ってきた破片なんて、それどころではない。
破片が舞い散るその床に、崩れ落ちるように座り込む使祈。
そしてそのまま、頭を抱えて叫ぶ。
事情をしっている先輩達が駆け寄り、なんとか使祈を破片の無い場所へ連れ出す。
その間、天は了の方を睨む。
了「あー、大変だ。ちゃんと点検されてなかったのかな。真下に人が居なくてよかったね。」
天「お前…」
了「なに？僕がやったって言いたい顔だね。でも何にも証拠はないだろ？」
確かにそうだ。この場で証明出来るものなど、何も無いのだから。
了「あぁそうだ、今しがた連絡があってね、事務所のトラブルのほうが一段落したから、戻るように言われてね。僕達はこれで失礼しますね。」
扉の方へ歩き出す了。その後を着けるように歩き出す梨将。
天「梨将！」
全く話したことも無い天に名前を叫ばれ、一度立ち止まる梨将。
天「いいの？こんなことになって。それとももう、昔の相方なんてどうでもいいって？使祈はまた梨将と歌えることを願って、この番組の撮影中ずっと戦ってきたんだよ？！」
何か言いたげな梨将だが、背後からの了の視線を気にして口を開けない。
天「使祈は昔の相方のためにここまで戦ってきたっていうのに、その当人は逃げるんだね。」
もちろん圧によって何も出来ないことは、天も承知の上だ。
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草津蓮哉(プロフ) - 欅さん» コメントありがとうございます！学業の関係で中々更新できていませんが、時間を見つけて少しずつでも更新していこうと思っております。推しは環と万理さんです…！ (2020年3月5日 7時) (
レス) id: ef06dcdedf (このIDを非表示/違反報告)
欅 - この作品に巡りあえて幸せです！ お忙しいとは思いますが、頑張ってください。応援してます。 推しは誰ですか？ 私は三月推しです！ (2020年2月4日 22時) (レス) id: 94cd216a66 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：草津蓮哉 | 作成日時：2018年5月30日 2時
