バイオレットフィズ4

146話 ページ7

*
sideA


果てしなく続く世界

一音たりとも逃さぬ空気

やっと着いた

ここが、昼と夜…


『！』


翼の音が響く

クヴィティダラで見た

あの、一つ目の竜

そして


‪‪‪✕‬‪✕‬‪✕‬「やっと会えたね、A」


『…入口から、来たよ。ちゃんと』


‪✕‬‪✕‬‪✕‬「言ったろう？何も無いけどなんでもある。君なら来れると思ったよ」


『エマとレイは』


‪✕‬‪✕‬‪✕‬「大丈夫、家族の元へ帰ったよ。あの子たちはここに来ることが出来なかった。あと少しだったけれど、まだ、自らの壁の中に囚われていた。この世界に壁なんて、本当はどこにもないのに。
いい脳だね。君はとても美味しそう」


『お目が高いことで』


‪✕‬‪✕‬‪✕‬「…ああ。気づいたんだね、自分が人間だってこと。全てを知っちゃったんだ」


『うん。全部、全部知ったよ。その上で、

僕は君と、約束を結び直しに来た』


‪✕‬‪✕‬‪✕‬「…いいよ。何が望み？

ただし、僕にもごほうびをちょうだい」


"ごほうび"

それは、望みを叶える代償

何を望まれても、断ることは許されない


‪✕‬‪✕‬‪✕‬「ごほうびは、大切なものがいいよね。
野望、欲望、渇望。貰うなら、相手の大切なものがいい。
それでも君は望む？何を望む？」


『…食用児全員を人間の世界へ行かせてほしい。それを最後に、二世界間の行き来を完全に不可能にして』


‪✕‬‪✕‬‪✕‬「それで、君はいいの？」


『…？』


‪✕‬‪✕‬‪✕‬「それが、君の望むこと？」


『そうだよ』


‪✕‬‪✕‬‪✕‬「本当に？」


『…何が言いたいわけ』


‪✕‬‪✕‬‪✕‬「君は、彼らに鬼の絶滅を託されたんじゃないの？」


予想だにしなかった発言に、思わず薄く笑った


『従うと思った？結局は自身の都合と感情で動く、どこまでも傲慢で自分勝手な弱者に。使い捨てに選ばれた僕が。
…この望みは紛れもなく僕の本望だよ』


‪✕‬‪✕‬‪✕‬「…そっか、ならいい。

その望み、叶えてあげる」


『痛み入るよ』


‪✕‬‪✕‬‪✕‬‪は少し考えた素振りを見せた

緊張が、走る

ここまで思考が読めない展開は初めてだ


‪✕‬‪✕‬‪✕‬「そうだな…じゃあ、僕が欲しいごほうび‪は


君の…










＿＿＿＿＿＿＿＿＿」

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