176話 ページ40
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sideA
微かに目が開く
暖かい……ベッドだ
静かな空間に機械音
嗅ぎなれない、薬品の匂い
「やっと起きたか」
『……ここは』
「病院だ。俺個人のな」
『僕は…なんで……？』
「雪ん中にぶっ倒れてた。俺が見つけてなかったら死んでたぜ、お前」
『…ありがとう。助けてくれて』
「見過ごせなかっただけだ。つか、医者ってそういうもんなの」
『……うん、なんかわかるかも』
「へえ？ガキのくせに生意気じゃん」
『…そっちこそ、点滴下手だよ。おじさん』
「手がかじかんでただけだっつの……｣
成程…ここは気温が元々低くて雪が降っている気候なのか
そして僕を保護してくれたのはこの男…
目の下には濃い隈がある
「……あー…お前、さ。一体どっから来たんだ？
見たとここの辺じゃないだろ。ナイフに銃に見た事ねえ薬…積雪地帯に入る格好じゃあねえ。持ってる本も相当古いし…」
『…きっと、信じてもらえないと思うんだけど』
「今更だろ。言ってみろ」
医者と名乗るこの男は、紙面を眺めながらコーヒーカップを傾けている
『………僕、たくさんの家族と、別の世界から脱出してきたんだ』
空気が僅かに冷たくなった
少し霞んでしまった瞳が視線を察知する
僕の目を見ていた
見透かされてしまいそうなほど、真剣に
僕が、世界を視てきたように
『何か、知っているの？』
「……確か2047年11月。出自不明の子供達が世界各地で発見されたんだ。首や腹に数字とか図面があって…丁度お前みたいにな」
『今って…』
「今は2048年9月5日。お察しの通りお前はほぼ一年昏睡状態だった」
『僕以外にここで見つかった子供は？』
「いねえ。雪が溶けて地面が見えても死体のひとつもなかったよ。ま、雪が溶けるなんてここらじゃ一瞬だけどな」
『そっか。良かった………』
「お前もその内の一人だったわけか」
『うん』
「その、他の家族は？」
『…さあ。無事だといいけど』
「そりゃあ…まあ。………あー、そうだ。3ヶ月後、ここを出るからな」
『…え？』
「病院っつっても仮拠点なんだ。ちょいとばかし調査に来ててな…」
『本当の家はどこなの？』
「海を越えた所だ。旧フランス、今はエリア08と呼ばれている」
『エリア08…』
「死にたくなきゃついてきな。お前の身元を受け持ってやる」
『…僕はA。あなたは？』
「トレフル。トレフル・ベルナルドだ」
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共感性羞恥(プロフ) - レイ落ちの沼にハマった者さん» この作品に足を止めて頂きありがとうございます。いかに設定を詰め込むかに命をかけていたので、このようにご好評いただけること、大変嬉しく思います。 (4月19日 9時) (
レス) id: 4b1c35e127 (このIDを非表示/違反報告)
レイ落ちの沼にハマった者 - バイオレットフィズ、個人的には約ネバ原作より好きです。バイオレットフィズのカクテル言葉が『私を覚えていて』というのと目の色の変化がレイへの感情の変化を表しているのが好きです。というか最後のレイと主人公の告白&絡み最高に好きです。ありがとうございました (4月13日 9時) (レス) @page50 id: c0fda8e93e (このIDを非表示/違反報告)
共感性羞恥(プロフ) - 大阪谷さん» 最後まで読んでいただきありがとうございます。貴重なお時間をこの作品に割いてくださったことに感謝の舞です。 (3月17日 10時) (レス) id: 8adc0e19cf (このIDを非表示/違反報告)
大阪谷 - 面白すぎてイッキ読みしちゃいました！完結おめでとうございます💐 (3月16日 16時) (レス) @page50 id: 382b1b8271 (このIDを非表示/違反報告)
共感性羞恥(プロフ) - 青現さん» ありがとうございます。初めましての作品ということもあり拙い文章にはなってしまいましたが、何とか完結に至る事が出来ました。貴方様に出会えたこと、大変嬉しく思います。ここまで応援してくださり本当にありがとうございました。 (3月16日 9時) (レス) id: 8adc0e19cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：共感性羞恥 | 作成日時：2024年1月28日 14時
