バイオレットフィズ4

165話 ページ28

*
sideA


味方が潰えたら

たった1人になってしまったら

生きている心は、いとも容易く崩れていく


ピーター「…殺せばいいのに。共に生きようなど、馬鹿共め。そんなんだから食い物にされるんだお前達は。
鬼などまだ可愛いものだぞ。鬼が食用児にしてきた事なんて、人は人同士ではるか昔から繰り返してきている。人は人を食わないのにだ。

どこへでも行け、お前たちの勝ちだ。だがひとつ覚えておけ。

人間の世界も変わらない。何故なら、鬼は人間の鏡だから。

［コードsolid］僕の叔父にそう告げるといい。

…見物だ。人間の世界で食用児がどこまでできるのか」


崩れた心は、同じ様には戻せない

命の形が変わるように


ピーター「悪いが僕は一緒には行けない。新しい世界とやらは地獄の果から楽しませてもらうよ」


エ「ピーター！！」


ピーター「…さらば」


心が崩れた彼は

首を、ナイフで掻っ切ってしまった


ザ「クソッ！」


オ「ザック！！」


救護班の彼はいの一番に飛び出していく

目の前の命は救わなければならない

失われていい命など、本当はひとつもない


エ「死んじゃダメだよ！ピーター！！」


でも僕は何もできない

それは腕が足りないからじゃない


ザ「どうする！傷を縫合するか！？」


『…』


エ「A？ねぇAってば…！」


『首…頸動脈の場合は縫合の前にやることがある。それにまず直接圧迫止血法ならものの数分で血は止まり、失血死は免れる。
…でも、

命を終わらせるのは、彼自身じゃないんだ』


エ「え…？」


血の気が引いていくのがわかる

お前は命までも奪えてしまうんだね


『‪‪✕‬‪✕‬‪✕‬…』


レ「！！」


周りを取り巻く空気から、2つの意識が消えたような

そんな感覚がした


エ「そんな、…ピーター…」


『……』


レ「A…」


手の施しようがないというのは、本当に怖い


エ「見てて、ピーター」


…それでも僕達は、進まなければならない

166話→←164話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す