バイオレットフィズ (ページ17)

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16話ページ17

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sideA

意識を戻す

成程、10歳、11歳の年長女子にしか許されていない一歳児の世話を利用して発信器の手術痕を見つけ出そうということか

流石レイ、促し方が上手い

これでエマが発信器のありかに気付けば、次は壊し方

…まあそれに関してはなんの問題もないだろうけど

それにしても、やはりまだこの能力を使うにあたりなかなかの疲労が伴う

そりゃ数日で変わるかと言われれば決してそうではないが、2ヶ月後の脱獄を考えると余裕を構えてる暇は無い

脱獄において9歳組(ぼくら)は子供たちの中で年長者の部類である

足を引っ張るわけには行かない…絶対に

「A」

ドキリと心臓が跳ねる

本から顔を上げると机を挟んで正面に座るノーマンがいた

い、いつのまに…

『…ノーマン』

ノ「やあ、随分本に集中していたみたいだね」

くすくすと笑うノーマン、さっきまでの真剣な顔とは大違い…

『何しに来たの』

ノ「ちょっと図書館に用があったんだ」

もう終わったけどね、そう言ったノーマンと目を合わせる

知りたいのは、ついさっきのノーマンの行動とその意図

『…ろ』

ロープ、と言いかけた口を慌ててつむぐ

ノ「？」

『や、なんでもない』

ノ「そう…？」

危ない、変に疑われるところだった

いや、それよりここにノーマンが来たのは僕にとっては好都合

『…ねえ、ノーマン

塀を登ったことはある？』