〇 私じゃだめなの (百花×睦美) ページ2
楽しそうに笑う君、恥ずかしそうに顔を赤らめる君、そんな君を見れるのは、きっと
肩を並べて、手を繋いで、君とずっと歩んで行くのは、あの子だよね。私じゃダメなの？ 私じゃダメなのかな。私じゃ、ダメだよね。疑問から、いつの間にか確信に変わっていく。
ワガママで、傲慢すぎる行動で。嫌われ憎まれ疑われて、“人に紛れるゾンビ”として、牢屋に入れられた私なんかじゃ、ね。
睦美がどうこう以前に、誰からも嫌われてるのよ、私は。可愛くて、性格も良い舞子に勝ち目なんてないし、そんな舞子に悪態ばっかついて、悪口を吐きまくった自分が嫌になる。
もうこのまま、消えてしまいたいな。だって、何も楽しくない上に一人ぼっちなんだもの。
食事とか拒否って、かったい床で寝て、そうすればそのうち死ぬのかな。死ぬなら、今のうち死にたいよ。今の状態で死ぬのと、もっと嫌われて死ぬのじゃ、まだ最初の方がマシ。
寝たフリしておけば、誰も私なんかに構わない。雑に入れられた毛布にくるまって、体操座りで目をつぶった。せいぜい食事の時間が終わるまでは、こうしてないと。
暫くそのままでいたら、牢屋の鍵を開けるような音が聞こえてきて、誰かの足音も聞こえてきた。最後に時計を見た時間的にも、きっと食事の時間だから、このまま無視。
「……もも？」
よく透った、特徴のある声。こんな分かりやすすぎる声は、睦美しかいない。
睦美は、私の事を唯一ゾンビではないと言った。だけど、皆が私の事を好きじゃない事、私が皆に嫌われている事、このまま私が過ごしても楽しくなんかない事を、はっきり告げてきた。だから、きっと睦美だって……。
「寝てるの？」
もう、このまま帰って。そんな気持ちで、一杯だった。
「寝たフリしてるんでしょ、バレてる」
「は……？」
もう少し、もう少し。ホントは気付いて欲しいなんて期待もあったけど、叶うわけがないって思ってたから、完全に捨てていた。それなのに、
「変な意地、張らなくていいよ」
毛布を無理やり引き剥がして、私の目をじっと見つめてくる睦美。厳しい目付きだったけど、声は、今の私には優しすぎた。止めようと思っても止められない、涙が溢れていて……
「辛いでしょ。もう、やめなよ」
優しく抱きしめられたから、もう、諦めきれない。本当にずるいよ、睦美は。
× 初めての敗者復活戦1(みゃお)→←〇 嫌味な関係性 (百花×睦美)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：C様 | 作成日時：2019年6月5日 19時
