ブラッド・アクション

【change】3-1　ビアンカ ページ9

３人で食事をしている間、正面に座るジェームズと数秒に幾度と複雑なアイコンタクトをとっていた。


　キャロルが無口なこと、いつもと顔色が違うこと、ロバートと同時に帰宅しなかったこと。


　喧嘩をした時は、眉を吊り上げているので察しはつく。またか、と受け流す程度だ。だが、今回は……。


　理由を知らない私とジェームズは、テレビをつけ、上出来だったベーコンとキャベツのスープを近くにおき、他愛もない話で沈黙を破る。


　ぎこちなさが滲み出る。油が塗られていないとギクシャクと音が出そうだ。


「いつも通りでいいのよ」


　私達はキャロルの言葉に一度、ぽかんとした。ドレッシングまみれのサラダを小皿に取り分け、それを上品に口にする。


　ドアが開き、ロバートがジャケットを片手にずかずかと入ってきた。

「ただいま」


　壁掛けのハンガーにジャケットを適当にひっかける。不器用でなかなか掛けられないない。


「雨降ってくると困るぜー」


　まったくだよ、と一言つけたしたそうな声色である。やっと不器用ながらもハンガーに掛け終えた所で、熊のように此方に歩いてくる。


　ジェームズはロバートの方に一度振り返って様子を見、話に合わせてそうだな、と軽く賛同した。


「傘ないとぬれるんだよ、嫌になる」


　ロバートは大きな手でジェームズの頭を覆うとワシャワシャと掻き乱した。


「わ！ なんだよっ」
「可愛いこと言うようになったなあ、お前も」
「どういう意味だよ」
「なんでもねーさ」


　口角を上げたロバートは遊び盛りの子供のようだった。キャロルも、ロバートに至って変わらず話しかけている。


(何があったんだ？)

3-2　ロバート→←2-4　キャロル

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