5-3 ビアンカ ページ19
ロバートがぴくぴくと目を痙攣させる。キャロルが放った銃音に戸惑いを隠せないのか、口がわずかに動いていた。やめろ、とでも言いたげな動き方である。
私は頭囲だけをぐるぐる巻きにしたかったが、顎と頭上を一緒に巻いてやった。
男とキャロルでは話にならないだろう。肉体馬鹿の男に、あんな目をしたキャロルを捕まえられる訳ないのだ。阿保なクライアントのハゲにかぶりつきそうになったキャロルが脳裡によぎって仕方ない。
「アンタのボスの場所は？」
男は黙ったまま、だらんと身体を脱力させ続けている。ジェームズは憤怒しているキャロルを見てびびったのか、その場で腰を抜かしているようだった。私も正直、キャロルのあんな戦闘を見せつけられたら反応せずにはいられない。
「お前等にいい事を教えてやる」
「いい事？」
「俺がお前等のいる取付路までくる間、時限爆弾を幾つかバラまいてきた」
「爆弾……？」
「あと５分とねーだろうな。……どうする？」
ジェームズと私の視線が男の気色悪い笑みに吸い寄せられる。悪魔のような笑い声は、コネチカット川全域に響き渡っているように思えた。死にぞこないの男の声に、ゾッとした。
「アンタ、この橋の上に幾つの命があるか考えたことある!?」
「キャロル」
暖かな一筋の声が私達の耳を包んだ。
頭から血を滴らせるロバートが一生懸命放った声。トんでしまいそうな意識をかろうじて保っているようなロバートが、まともな声を出しているのは生死に関わる。だが、私は横にいながら言葉を止められなかった。
「怒るのは後にしよう。ソイツを連れて行くか置いていくかは、お前が決めていい。
戻って一台一台に声をかけているようでは、ひとり所か俺達も助からない」
「諦めろって言うの」
「そうじゃない。生きることを俺達は諦めないんだ。助けるって問題じゃない」
キャロルは男を掴んでいる手を解く。男は一度膝をついたものの、太ももからの出血が多くてそのまま顔面から雪崩れていった。もうキャロルの足元も、３ｍは距離を置いた車のタイヤも、静かに血に飲まれている。
連れていったとしても、大量出血で数分ともたないだろう。
「私がスピーカーを乗っ取るよ」
ふたりの会話を聞いていられなくなり、私は橋の上にあるスピーカーを指さす。
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レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - 小春さん» 小春さま、読んでくださって嬉しいです。ありがとうございます♪ まだ現実にない未来の世界、海外旅行行ったことないので、100％レイチェルの創造のお話です(￣∇￣*)ゞ 楽しんでいただけて光栄です。もう一度、ありがとうございます！ (2016年4月2日 23時) (
レス) id: 665ef5492b (このIDを非表示/違反報告)
小春(プロフ) - 凄く読みごたえがあり、内容も丁寧で、楽しかったです！ハラハラドキドキして、つい時間がたつのを忘れてしまいました。イベント参加、ありがとうございましたm(._.)m独特の世界観も、大好きになりました！！ (2016年4月2日 23時) (レス) id: f64e477862 (このIDを非表示/違反報告)
水樹舞(プロフ) - レイチェル・ハジェンズさん» なるほど。参加している作品がこの作品のみでしたので申し訳ありません。最近は忙しいので今度じっくり読ませていただきます。 個人的にはロバートが１番好きです。かっこいい。 (2016年2月9日 20時) (レス) id: 4fe470ed05 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - 水樹舞さん» 恥ずかしながら、シリーズでランキング入りしてますので思う存分楽しめるかと！ スピンオフも好評いただいているので、そちらも是非。 (2016年2月8日 17時) (レス) id: 665ef5492b (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - 水樹舞さん» 読んでいただいてありがとうございます♪ 人物紹介は第一作の命にキスを、で惜しみ無く描いてあるので見てください。第二作のユナイテッドクレイジーではお話の世界観を楽しんでいただけて、第三作の此方はアクションが見所です。よろしくお願いいたします！ (2016年2月8日 17時) (レス) id: 665ef5492b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイチェル・ハジェンズ | 作者ホームページ：https://twitter.com/seshiru777777
作成日時：2015年1月12日 22時
