月夜に提灯-4 ページ38
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「……なんでしょうか？」
YU「録音、されてましたよね。」
＿＿＿＿＿やらかした。
そうだった、Aと仲良い3人の友人たちは皆、危なっかしいAを護衛するかのように頭がキレる人達だったことを忘れていた。
YU「正直あの状況は私達にとっても偶然な事で驚いているんです。
Aは気付いてないから私から言いますけど、削除してください。」
「……嫌だと言ったら？」
ああ、私はなんて醜いんだろうか。
有り得ない話だけどAだったらすぐ、素直に受け入れて
すみませんでした、と言うんだろうな。
この時点で人としての出来に差があるのにもまた、嫌気が差した。
そしてロンジュンペンは深い溜息をつきながら鞄の中から何かを取りだしスラスラ書いていく。
元々ため息つきたいのはこちらであるというのに。
YU「そこの値段は自分で決めて書いてください。口止め料です。」
もう、本当に頭が痛い。
Aも、マークも、Aの友人も。
住む世界が違い過ぎる、分かっていたことだったのに。
見下されているようなその視線が痛くてたまらない。
私のスマホから音声が完全に削除されている事と
小切手を受け取ったことを確認すると彼女は汚物を見たかのような表情で店の中に戻って行った。
どうして、みんなAが中心なんだろう
私は何もしてないのにどうしてこんな仕打ちを受けなきゃいけないんだろう
＿＿＿＿いや、"なにも"していないからか。
私は結局弱いのだ。
言い値である小切手をしっかり受け取って、そのお金でペンサに参加したのだから。
だけどマークはAにあの日向けた表情を私に向けることは無かった。
世の中には知らなくていいことがあると言うけれど、私はあの日のことを今も知らなければよかったと思う。
もう、誰も信じなくていいから拡散したいと思うくらいには、今も妬んでいるんだと再確認して、また、自分の弱さに気付くのだから。
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作者名：あ | 作成日時：2024年3月6日 2時
