月夜に提灯-3 ページ37
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世間には滝修行なるものがあるけれど、実際私は今修行受けているのとほぼ同じ。
マークはAの隣に座って、ロンジュンペンは特に驚きもせずご飯を食べて、携帯を見て、たまに会話に参加して。
完全にほぼマークとAの世界だった。
いけないと分かってはいるけど、ボイスメモの録音開始ボタンを気付いたら押していた。
MK「その、さ、A、座席のとなりにいた男は？」
『……？男？』
YU「ちょっと。Aは私と2人でのチケットだけど？
ただの見ず知らずの男に決まってるでしょ、バカ。」
MK「ヤー、ヌナ、静かに。」
『ああ……！男の人だったんだね！
まくに夢中で気付かなかった、まくはすごいね、周りみてて偉い』
MK「あー、可愛い。いやっ、本当に、そうじゃなくて……
あー……エギヤ、今のミニョンに変えてもう一度言ってくれない？ダメ？」
YU「ダメに決まってんでしょ」
MK「はぁ、本当に、これがハルヌナだったら協力してくれたけど？」
YU「バカ言わないで」
MK「A、お酒飲んだ？」
『うん、美味しい』
MK「飲みすぎたらダメだから、ちゃんと考えないと。
顔赤いんだけど？A……どうしよう、すごく可愛い。
ねえ、水飲もうA、俺に心配させたくなかったら言うことちゃんと聞いてほしいよ。」
どうしようはこちらのセリフだ。
なに？この地獄絵図。
いっそのこと実は付き合ってました、って言われる方がマシだ。
だって、こんなの、
明らかにマークだけがAのこと「そういう」気持ちで接しているんだから。
snsだけを見たらマークに恋をしているAと自分のことを応援してくれているファンへの対応を良くしているマーク、の図になるかもしれない。
けど、これはそうじゃない。
Aは自分が特別な立場であることを理解してる上でファンという形で満足しているけど、
マークがそれだと嫌で、満足出来ないんだ。
「………きっつ、」
不意に出てしまった言葉はもう取り消せない。
まずいと思った時にはもう遅かった。
急いで会計を済ませて外に出る、こんなに涼しいはずなのに頭の中と身体はずっと燃えるように熱い。
YU「あの。」
「………え？」
本当にどうしてこの店を選んでしまったんだろう。
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作者名：あ | 作成日時：2024年3月6日 2時
