月夜に提灯-1 ページ35
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side_???
2022年5月28日。
幸せ、って本当にこういう日のことを言うんだと思った。
初めての現場、初めてのマーク、初めての127。
自分の目で見るマークは本当にかっこよくて、マークって本当に存在したんだなって思えた。
まだマークのこと好きになって日は浅いし
毎日毎日「なんでわたしはこの瞬間のマークを見ていなかったんだろう」ってずっと思ってた。
毎日、毎分、マークの所謂古参ファンを見て苦しくなった。
けど今日でそんなこと全部どうでも良くなった、あまりにも彼がカッコよすぎるから。
自分よりも年下の男の子が世界中で輝いているのをこれからもずっと見ていたくなってしまった。
「はぁ、お腹空いた…」
どれだけライブの後のアドレナリンが出ていたとしても食欲には抗えない。
今日のためにずっとダイエットしてきたんだし、1日くらいはなんでも食べていいってわたしの中のマークが言ってる気がした。
" Aちゃん💘@xxx
今日のまくも天才だたー；；；；
懲りずに何年もだいすきでごめん、まく；；；；"
「……ま、今日居なかったわけないわな」
A、マークの古参で、少なくとも日本人の中ではTOの人。
初めはTiktok。
Twitter。
そして最近はInstagramも。
私がマークのこと調べれば調べるほど付き纏う彼女の存在は
私の心を啄むには充分な存在だった。
彼女は私に対して何もしてない、そう、何も。
私がただ単純に嫉妬しているだけで。
「…、やめだやめ。ここ入ろ。」
銀座でそこそこ名前が知られている場所、と言っても私も先輩に教えてもらっただけなんだけど。
ここで今日は思い出に浸りながら食事と晩酌を楽しみたい。
なのに、
『ゆうちゃん、着いてきてくれてありがとうね、はるちゃん海外出張重なっちゃったからたすかったよ〜…』
マークと同じくらい、いやもしかするとそれ以上、嫌という程聞いたことのある声が聞こえてきた。
「な、んで……」
なんで、も何も無い。
別にここは自分の貸し切ってるお店でもないし、彼女がここに足を運ぶ事だって有り得るわけだ。
何も今日じゃなくて良かったのに。
当然だけど彼女が私の存在に気づくこともないので少し離れたカウンターに腰を掛けた。
今思い返すとここに座ったことが間違いだったのかもしれない。
あと数歩先にある半個室に行けば苦しくならずに済んだかもしれないのに。
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作者名：あ | 作成日時：2024年3月6日 2時
