諸君、よく見よ。これが新たなブラック本丸だ (ページ8)

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「ひっ、えっ、ちょっ！？」

電動のこぎりを肩に乗せ、机の上に足を乗せるAは、まるで姉貴を擬人化したようだった。

審神者は、先程までおどおどしていた表情がなくなり代わりに鋭い目つきになったAにたじたじになる。それもそうだ。まだそれだけならまだしも電動のこぎりを片手に持っているのだから、誰でもそうなるだろう。

「怪我を治してやろうかって聞いてんだ。治されたい奴は手を上げな」

Aはそう言ったものの誰一人として手を上げなかった。
だって、素性不明の人に何か仕組まれるかもしれないから。しかも電動のこぎりを持っている。
もう刀剣男士は、「ぅゎ、みならぃっょぃ」を通り越して「みならぃこゎぃ」になっていた。

「よし、ならアンタ。行くよ」

選ばれたのは…

「う、うわぁっ！？いきなり何なんだお前！」

薬研藤四郎だった。
兄弟を庇い、今いる短刀の中ではだんとつで傷が酷かった。

「薬研ッ！」

「い、いい！俺っちは自分で治すっ！」

片手に持っている電動のこぎりに目を向けると、物凄い寒気が背中を走った。
この人に治療されてはダメだと体が叫んでいる。悪夢を見るぞと。
必死に抵抗するのだが、体はもうぼろぼろだった。体はもうやめろやめろと泣き叫んでいた。

「ふふふ…ならここで治してやろうかァ？」

「あっ…それはいいです」

一気に大人しくなる薬研にAは満足そうに薬研を俵担ぎにし別部屋へ運んで行った。

「やぁげぇぇぇぇぇぇぇん！！」

兄の伸ばした手は、何も掴むことは出来なかった。