諸君、よく見よ。これが新たなブラック本丸だ (ページ7)

今日:1 hit、昨日:10 hit、合計:59,310 hit

6 ページ7

「い、いきなり切りかかってこないよね…」

「分かりません。彼らは人間不信ですから」

淡々と告げるこんのすけにあの男性の面影が重なる。

なんて、無責任な。

あと、5秒。

「…ここ？」

「ええ」

襖越しに、沢山の気配を感じた。

ここにずっといるのも、神様に失礼だとAはゆっくりと襖に手をかけた。

あと、4秒。

「…」

「…」

Aは固唾を飲み込む。

こんのすけは隣でそれを見守る。

あと、3秒。

「…行きます」

「ええ」

Aは、大きく息を吸って襖を横へと引いた。

あと、2秒。

「ゎ…」

Aの視界の中に映るのは一番偉そうに座っている人間と、華美すぎる神様。
だが、怪我を負っている為かその姿は何処か痛々しい。
Aは眉を顰めた。

あと、1秒。

「…」

Aはゆっくりと、刀剣男士を見渡した。
全振りと審神者は、Aの事を舐めるように見ている。
どこか刀剣男士の瞳には恐怖が浮かび審神者の瞳には欲、いら立ちが浮かんでいた。

あと、0秒。

「ちょっと、あんた。こいつらは私の“物”なん」

「おやァ？アンタら怪我してるねェ…治してやろうか？」

その声色ははちみつのように甘く妖艶であった。

審神者の声を遮り、妖しく弧を描く。Aからは大量の色気が漂っていた。

「っ？」

Aのすべての雰囲気がスイッチが押されたように切り替わった。
先程まで、怯えていた表情も、大人しい性格もなくなっていた。
この人は、誰だろうか。

刀剣男士たちは驚いた様子で目を見張っていた。

いつの間にか、Aの手には電動のこぎりが握られていた。