E n c . 協奏曲 (ページ8)

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「……この横笛やってたんだ」
　「フルートです」

　これ今弾けんの？と言うセリフに、備え付けてあったクリーニングペーパーで周りを包んで優しく擦る。

　念のため拭き口と穴も洗うと、新品のような輝きを戻して私の手に収まる。

　「私UNCALLはBYEしか弾けなくて」
　「俺を誰だと思ってんだよ」

　お前が惹かれる演奏する名ピアニストだからなんて言う言葉に正直に頷くと、「そこは否定しろよ」と少し恥ずかしそうに鍵盤に指を置いた。

　その動きに合わせてフルートを構えると、BYEの最初の音程に合わせて穴を塞ぐ。

　先輩が鍵盤を押した瞬間、すっと息を吹き込む。

　2つの音色が重なって、音楽室に柔らかい高音が響く。

　……指配置。強弱。

　忘れていた音楽の魅力に魅せられたようにフルートを吹く。

　「おい‼︎」

　それと同時に頭に焼き付いた、他校の制服。

　その先が思い出せないまま不細工な音を上げると、フルートを口から離した。