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知念 said
大学のカフェテリア。
僕は一時期アメリカに留学し、帰国子女として帰ってきた。
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受験した大学は日本でもトップクラスの頭のいい大学で、
この僕でさえも頑張って勉強して合格した大学だ。
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もちろん受験理由は、『Aが行きたいって言ってたから』。
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そんな僕は頭の良さは劣っても、
生まれながらの運動神経の良さと、世に言う『イケメン』である為モテる。
実際に今、ただ歩いてるだけでも結構な人数の視線を感じる。
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でもごめんね。君たちの願いは叶えられない。
なぜなら僕には好きな人がいるから。
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こんなことを彼女が聞いたらどんな反応をするんだろう・・・。
顔を真っ赤に染めて、コクコクうなずいてくれるだろうか。
いや、Aは涼介が好きなんだっけ。
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そんな中でひときわ目立って聞こえる声。
別に声自体が大きいわけじゃなくて、その声に聞き覚えがあるから。
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懐かしい。
その声は確か、Aの声。
導かれるように足をすすめると、僕の大好きな人がそこにいた。
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『____またその話?』
A「うん。だって普通気になるでしょ?
あー、侑李くん今何してるかなー?」
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あなたの後ろ(ちょっと遠いけど)に立ってます。
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『そんなに気になるなら連絡すれば・・・あっ、』
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連絡なんてしなくても、後ろにいまーす!
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A「連絡が取れないんだってば!だから余計に心配なんでしょっ。」
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ふふっ。Aが僕の心配?
そういえば新しいアドレス、誰にも教えてなかったんだっけ。
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にしても、「侑李くん」。
Aが僕をそんなふうに呼ぶようになったのはいつからだろうか。
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きっと僕がアメリカに行く前にはそんな呼び方じゃなかったと思う。
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僕がアメリカに行っている期間が長かったことを思わせると同時に、
僕の知らない、Aがいることを知った。
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僕をそんなふうに呼ぶようになったきっかけが何かは、知らないが、
僕の前で僕のことをそんなふうに呼んでほしくない。
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僕は彼女の真後ろに立つと、
お友達に『シーッ』と合図を送ってから腕を回し、彼女の両目を塞ぐ。
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- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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作者名:悠華 | 作成日時:2019年12月2日 18時