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俺らが
あの日は確か、俺の意見が現実的ではないと、スタッフと衝突してしまった日。
妥協なんかしたくない。最高のものを届けたい。
どうしても譲れず、かと言ってスタッフの方も引かず気まずい雰囲気のまま終わった日。
衝突したことで高ぶってしまった気持ちを落ち着かせようと、ある高台へ行った。
地元にあったお気に入りの高台と、よく似ている高台。
不思議と落ち着ける場所。
頻繁に来られるわけではないけれど、明らかにここは俺にとって特別な場所だった。
今まで誰か人がいることはなかった、のに。
……今日に限って人がいる
見つかったりしたら、それも俺だと気付かれたりしたら面倒だから、もう帰ろうか。
被っていたキャップを抑え踵を返そうとした、ときだった。
「…どーしよ」
どこか、懐かしい声が聴こえたのは。
なんて、知るわけがないし解らない。
けれど、何故か俺は
「ここ、綺麗だよね」
高台の柵に腕を乗せネオンの光輝く夜の街を眺める女性に、声をかけていた。
その手には、飲みかけらしき缶ビールが握られている。
「……うん。ここ、好きなの」
予想外、返事が返ってきた。
多分、この時から俺らは_______
この時点で、可笑しかったのだろう。
軽くウェーブがかかった髪を耳にかけた女性の方を見れば、露になった耳元が目に入った。
その、瞬間だった。
全身に電流が流れたような衝撃が走ったのは
唐突に蓋を開けられた、思い出すことすら懐かしい記憶。
今からもう15年程前になるだろうか。
記憶に懐かしい、高校時代。
「…なんか……こんな景色見てたら、自分の悩みなんかちっさいなーって、思えてくるんだよね」
『ここ、いいだろ?』
『行き詰まったり悩みとかあったらいっつもここに来ててさ。俺の特別な場所ってわけ』
『自分の悩みなんかちっせーなって思えるじゃん?』
いつかの、俺の言葉。
「……そっか」
「…ま、現実逃避ってやつよ」
『ははっ』とから笑いする彼女。
「でも、この場所を離れたら_______
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朔藍(プロフ) - naaaaさん» ありがとうございます!私もNissyめっちゃ好きで妄想しながら書いてます笑 (2022年10月23日 15時) (レス) id: 7586c4e066 (このIDを非表示/違反報告)
naaaa(プロフ) - とても面白いです!Nissy好きなので妄想しながら読んでます。更新頑張ってください! (2022年10月23日 11時) (レス) id: ab66cc7dba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朔藍 | 作成日時:2022年4月24日 22時