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(勇次郎side)
無事収録が終わり、帰る頃。
私服に着替え楽屋から出てテレビ局の出口に向かっていると、1階でキャップを被った成海さんが壁にもたれかかっていた。
進行方向にいたのでなんとなく目に入ってきた成海さんの手元にはスマホが握られていてその顔は
まさしくあの、恋の顔
「成海さん」
「えっ、あ、勇次郎君。お疲れ様」
「お疲れ様です。……何してたんですか?」
「い、いや、?何もしてないよ〜?」
この人も、分かりやすいな
隠したいのかもしれない。
けれど気を遣う気持ちは好奇心にあっさりと負けてしまった。
成海さんの隣の壁に自分の背を預ける。
「『濱中君』って人ですか?」
「えっ!」
「実は結構前から知ってまして」
そう言えば、成海さんは分かりやすく顔を一瞬でボッと赤く染めた。
「え、あっ、うっ」
「好きなんですよね?」
追い討ちをかけるように言えばますます成海さんの顔は真っ赤になっていく。
やっぱり、思ってた通りだった
「う、うん。あの、でも…黙ってて……ください」
「そうするつもりでしたけど。……何か理由でもあるんですか?」
すると成海さんは切な気に目を伏せた。
顔の赤みも徐々に引いてきている。
「私が好きになることで、相手に迷惑をかけることがあるかもしれないから…だよ」
頭を鈍器で殴られたかのような衝撃とは、まさにこのような感じだろうか。
それ程、その言葉は重く感じた。
「そう、なんですか」
「…うん。私と一緒だったら周りのカップルみたいなことはあんまり出来てなくて。
それに、もし仮にメディアの人とかファンの人にバレちゃったら向こうが大変になっちゃうかもしれない、から」
何で、ここ数日そのことに気が付かなかったのだろう。
僕はアイドル。
彼女は芸能人でもなんでもない。
姉が芸能人のマネージャーをしていて、同居人の男がアイドルをしている一般人。
普段は彼女との間に壁を感じないから、忘れてしまっていた。
僕と彼女との間には目に見えなくとも簡単に壊せない壁があるのだと。
これ以上の特別な関係になれない壁があるのだと。
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あーー(プロフ) - ハリネコさん» 朔藍です。宮永はまだまだ出します!他のオリキャラも(作者の気が変わらなければ(笑))これからも読んでいただけると嬉しいです!! (2022年1月26日 23時) (レス) id: 7586c4e066 (このIDを非表示/違反報告)
ハリネコ(プロフ) - あーーさん» やっぱ面白かったです!あ、これ私の本アカです。宮永キー人物だ…! (2022年1月26日 21時) (レス) @page34 id: 6af24d38bc (このIDを非表示/違反報告)
あーー(プロフ) - ハリネコさん» 朔藍です。ほんっとにコメントありがとうございます!最高の褒め言葉です…! (2022年1月17日 18時) (レス) @page28 id: 7586c4e066 (このIDを非表示/違反報告)
ハリネコ - いや、なんかもう最高ですね( ´∀` )b (2022年1月17日 17時) (レス) @page28 id: 690aee62a7 (このIDを非表示/違反報告)
あーー(プロフ) - ハリネコさん» こんばんは、朔藍です。4度目のコメント本っ当にありがとうございます!この作品、なんせ作者の妄想ですので!夢小説ですので!(笑)勇次郎これからも凄いかもです(笑)これからもよろしくお願いします! (2022年1月9日 0時) (レス) id: 7586c4e066 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朔藍 | 作成日時:2022年1月1日 7時